「国と地方は対等」と主張する人がいる。以前は、主に地方主権・地方分権推進派から聞こえてきたが、最近では国に楯突く愚劣な自治体らが自己正当化する際に使うようになった。しかし、当たり前だが国と地方は対等でないし、対等にはなり得ない。
何故ならば、国と地方では背負う責任の範囲と重さが違うからだ。おらが村の発展だけ考えていればいい地方に対し、国はそれら全てを抱えて日本全体を守らねばならない。より重い責任を果たすには、より強い権限が必要になる。つまり必然だ。
だから、国と地方では法にも序列がある。国が制定する法律は上位法、地方が制定する条例は下位法だ。条例は法律の範囲内でしか作れず、ごく一部の例外を除き、法律の内容を超えたり法律の趣旨に反する条例は認められない。
例えば、国が国の責務に基づき施設設置を進めているとき、それが仮に迷惑施設だったとしても、地方が勝手に条例を作って国を排除することは不可能だ。国民全体の利益である公益は、一部の人間の我が侭よりも優先されるのである。
ちなみに、一部の例外とは法律に馴染まない地域の問題で、都市部の路上喫煙規制条例とか、海水浴場や河川敷のDQN規制条例などがそれだ。法律の抜け道を探せば国を出し抜ける、みたいな例外は無く、条例は所詮は条例である。
さて、沖縄県が条例改正で国を規制するらしい(笑)。
沖縄タイムスによれば、沖縄県は普天間基地辺野古移設を阻止する目的で、県土保全条例を改正し、従前は条例対象外だった国の開発行為も知事の許可制にする。埋立て承認の訴訟で負けても、次は施設建造を許可しない作戦と言うわけか。
アホすぎる。冒頭に説明したとおり、条例ごときで国の専権事項は規制出来ない。県土保全条例が国の開発行為を対象除外にしていたのは、条例の性格上そうするしかないからで、都合によってコロコロ変えられるものではない。
条例改正しても国に対する拘束力は皆無で、沖縄県が強行すれば、進行中の埋立て承認問題と似た展開になるはずだ。要するに、国が沖縄を指導し、沖縄が従わず、訴訟合戦に突入する。ただ、それだけでは済まない可能性も考えられる。
不当な条例で不利益を被った場合、行政に対して損害賠償を請求できる。国民の税金を預かる国は、損害を賠償させる義務がある。国は埋立て承認では用いなかったが、二度目となれば損害賠償カードの有効活用も視野に入れるかもしれない。
ところで、これを報じた沖縄タイムスの記事に興味深いことが書かれていた。「与党側は当初、議員提案を予定していたが、県執行部の提案の可能性もある」、「与党からは県からの提案を検討するよう求める声がある」、とのこと。
通常、議員は「手柄」を県職員に譲らない。あり得ない。職員をこき使って条例案を作らせることはあっても、手柄はかっさらうのが議員だ。それをわざわざ議員から譲るのは、連中も「この条例改正はかなりヤバい」と自覚しているからだろう。
あえて県をかませることで、責任を分散し擦り付けたい思惑が透けてみる。何てセコい奴らだ。ゲスな人間ほど、責任逃れや悪知恵にはやたら頭が回る。まあ、いずれ身にしみて分かるだろう。そんな小細工で責任逃れなど出来ないことを。
いずれにしろ、この条例改正は移設反対派の首を自ら絞める悪手でしかない。実に楽しみだ。さっさと可決して、翁長に「許可しない!」と言わせれば良い(笑)。
沖縄:辺野古阻止狙い 沖縄県と与党、県土保全条例改正へ
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=149495
名護市辺野古の新基地建設問題をめぐり、沖縄県執行部と県議会与党は12日、県土の乱開発防止を目的とした「県土保全条例」の改正案を県議会2月定例会に提案する方針で合意した。除外されていた国の開発行為も規制の対象とする内容とすることで、新基地建設をけん制する狙いがある。県議会は与党多数のため、提案されれば可決される見込み。関係者が明らかにした。
県土保全条例は県土が無秩序に開発されることを防ぐため、3千平方メートル以上の面積の開発には知事の許可が必要と規定。許可を受けずに行われる開発は知事が工事の停止、原状回復などを命令することができる。
現行の条例は18条13号で「国や地方公共団体の開発行為」を規制適用から除外している。12日に確認された改正案のたたき台は新たに「知事が認めないと(除外が)適用されない」との項目を追加する内容となっている。適用から除外するかを知事が判断するため、第三者による審議会に諮問することも盛り込む方向だ。与党側は当初、議員提案を予定していたが、県執行部の提案の可能性もある。
2月定例会は2月15日の週に開会する見通しで、与党がプロジェクトチームを立ち上げ提案までの具体的な内容や流れを検討する。与党からは三役を含めた執行部で県からの提案を検討するよう求める声がある。
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