2013-10-26 21:51

司法にブラック認定されたユニクロ

東京地裁は18日、ユニクロが名ばかり店長に不当な長時間労働を強いていと認定した。本件は、ユニクロが名誉毀損で文芸春秋を訴えた裁判だった。ブラック企業の逆ギレ裁判で、ものの見事に返り討ちにされた格好だ。当然である。ザマミロ。

ユニクロは文芸春秋に対し、自社のブラックを暴露した「ユニクロ帝国の光と影」の発行差し止めと、2億2千万円の損害賠償を要求していた。厚顔無恥とはこのことだ。対価も支払わず労働者をこき使い、裁判に勝てるとでも考えていたのだろうか。

おそらく、ユニクロにも勝算はあったのだろう。長時間労働の証拠について、日頃から完璧に隠滅できている自信があったに違いない。ユニクロに限らず、広域展開するアパレルや外食産業では、エリアマネージャーらが厳しく目を光らせている。

各店舗の人件費は上限が定められていて、目標という建前だが実際には超過を許さない。no-risuは大学生時代のバイト中、店長がエリアマネージャーに絞り上げられる様を何度も目にした。やくざの恫喝じみた説教が、延々1時間以上続けられることもあった。

とある喫茶店チェーンでは、バイトであるno-risuらが売り上げの管理から人員管理まで行っていた。厨房も接客もバイト任せで、店長はバックルームにこもり、あまり現場に顔を出さなかった。ただ、そのことでバイトから不満の声は無く、むしろ仲は良かった。

ブラック企業の殺し文句、「アットホームな雰囲気」と言うやつだ。確かに、バイトにとってはアットホームな職場だった。店長には情け容赦無いエリアマネージャーも、バイトに対しては常に優しくニコニコしていた。ねぎらいの言葉すらかけられた。

あるときno-risuは店長に質問した。「あいつは何故バイトに優しいのか」と。理由は簡単だった。バイトはしょせんバイト、身内ではなく部外者だからだ。バイトを締め上げると簡単に辞めてしまうし、外で店の悪口を言いふらすから優しく接するのだという。

たまにしか厨房に立たず、金管理も人員管理もバイト任せにしていた店長だが、それでもバイトが文句を言わなかったのは、店長が凄まじい長時間労働を強いられていることを知っていたからだ。何がそんなに忙しいかと言うと、数々の「報告書」である。

経営分析や集客アップの企画書など、専門家がチームで考える様な仕事を店長は背負い込まされていた。そんな簡単に集客数など増やせるわけがないのに、上は必ずアップする企画書を要求し、計画通りにアップしなければエリアマネージャーの怒号が飛ぶ。

店長はバイトがあがった後も一人店に残り、店内の照明を消して奥のバックルームでサービス残業を続ける毎日だった。店内照明を消すのは、電気料金節減と長時間労働隠しが目的だ。店長の睡眠時間は平均3時間、徹夜(たまに二徹)もざらだった。

「タイムカード押しとくから寝てていいっすよ」、なんてバイトが店長に気を遣う惨状で、その店長はまもなく体と心を壊して田舎に帰った。その前の店長も似たような経緯で辞めた。某ファミレスでも同じ光景を見たし、友人らからも多数のブラックな裏話を聞いた。

だから、no-risuは名ばかり店長の劣悪な処遇や、会社の隠蔽手法などはある程度理解しているつもりだ。長時間労働の証拠は、会社の書類に残されない。もし店長が長時間労働を会社に報告しても、会社は努力を評価せず無能の烙印を押す。

ブラックを証明する物証が無いから、ユニクロは文芸春秋に訴訟を起こした。実際、裁判では店長の証言が頼みの綱で、その信憑性が争われた。ユニクロが勝訴しても不思議ではなかったが、証言を真実と認めた東京地裁の英断は高く評価したい。

名ばかり店長に代表される労働者の使い捨ては、おそらく日本における最大級の人権侵害問題だ。ブラック企業は、数多の労働者を薄給でこき使い、ダンピングまがいの激安商品で貧民から金をかき集め、他店を駆逐し、創業者ら一部経営陣の懐を潤す。

もう、そんなビジネスモデルは止めさせるべきだ。ユニクロ柳井の個人資産は1兆円を軽く超える。国内835店舗の店長に、正当な対価を支払うなど屁でもなかろう。ユニクロを皮切りとし、日本にブラック企業駆逐の空気が醸成されることを切に願う。



時事:ユニクロの名誉毀損認めず=サービス残業は「真実」-東京地裁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013101800768
 カジュアル衣料品店「ユニクロ」では店長がサービス残業をしていると本で書かれ、名誉を毀損(きそん)されたとして、同社と親会社のファーストリテイリングが発行元の文芸春秋を相手に、出版差し止めや計2億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。土田昭彦裁判長は「重要部分は真実と認められる」として、ユニクロ側の訴えを退けた。
 判決によると、問題となったのは2011年3月に出版された「ユニクロ帝国の光と影」。現役店長らの話として、ユニクロでは店長がタイムカードを押していったん退社したように装い、その後サービス残業をしていると記載。労働時間は月300時間を超え、会社側も黙認していると指摘した。
 判決で土田裁判長は、「取材に応じた現役店長の話は具体的で、信用性は高い」と判断した。ユニクロ側の話 判決は事実に反するもので誠に遺憾。今後の対応は慎重に検討して決定する。



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コメント

ブラック体質

最後の二段落に激しく同意。
今、私はブラックな職場にいますが、ブラック職場には、かつてのブラック処遇を武勇伝のように語る人が多い。ブラック文化の連鎖を断ち切らないといけないんでしょうが、難しい。
  1. 2013-10-27 13:53
  2. URL
  3. 名無しクマー #-
  4. 編集

Re: ブラック体質

こんばんは。

ブラック自慢をする人、いますよね。気持ちは分からなくもないです。本当は自慢するようなことではないですけど、ブラックに耐えてきた自負があるでしょうからね。

でも、変わらないといけませんよね。社員から変わることは難しいでしょうから、やはり政治・行政・司法がまずは先頭に立たねばなりません。

  1. 2013-10-27 18:48
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

富国強兵 殖産興業は何処へ

no-risu さん こんにちは

ユニクロの敗訴は当然な結果と喜んでいます。

労働側と資本家側、殊に使用者側の勝利感が強く感じていました。
安倍晋三首相も消費税増税に際して、資本家側の利益を大事にすると
残念な気持ちが有りました。

非正規労働者が過半を占める事態は悪夢です。

彼の福沢翁も現今の形勢は、貧国への道程と嘆くでしょう。


  1. 2013-10-27 22:44
  2. URL
  3. soukikaisann #hVFTBmM6
  4. 編集

Re: 富国強兵 殖産興業は何処へ

こんばんは。

非正規が増えることは良くないこと、これは間違いないと思います。新自由主義者は労働力の流動化とかもっともらしいこと言いますけど、実態は明らかに労働者をこき使っているだけですよね。

安倍総理の資本家優遇、確かに憂鬱の種です。ただ、解雇特区撤回のように、全く声が届かないわけではないのが救いでもあります。注意深く見守っていかなければなりませんね。

  1. 2013-10-27 23:08
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  3. no-risu #-
  4. 編集

このエントリーのno-risuさんとほとんど同じ経験を小生もしました。ただ、1つだけ違うのは会社がアルバイトにはある程度の高給を与える一方で締め付け使い捨てにしたことでしょうか。

まあ塾業界の一番ブラックな会社でしたが…

所がこの塾良いノウハウを持っていたのが皆アルバイトだったというお馬鹿なところで業界にそのお馬鹿が知れ渡るとともに、良い人材が来なくなり給与が相対的に下がりついに破綻しました。
それでも10年かかりましたか。

本来アルバイト・パートの多様は決して安上がりではないのです。正規を無制限に付か潰すことが一番安い、それをブラックな連中は知り尽くしてます。

でも柳井某はどうするのでしょうか、一兆円の個人資産があっても意味が無いでしょうね、使わなければ。使い切れないものを持っても同しようもないという気持ちにはならないんだろうか。

それが分かればブラックではないのでしょう。

  1. 2013-10-29 21:28
  2. URL
  3. kazk #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

こんばんは。

塾と言えば、私も家庭教師のトライで高校3年生を教えていました。時給は高かったですけど、労働時間が短くて全然儲かりませんでしたねぇ。

kazkさんの塾がどこなのかはわかりませんが、トライもバイト頼みが過ぎる会社でした。「生徒に合わせて指導するので塾指定の教科書は作りません!」が売り文句でしたけど、結局はバイトがそれぞれ考えて指導するだけだったんですよね。

で、柳井ですけど、1兆円も持っている人間の心は想像もできませんね。おそらく、「金」に対する理解が、私の様な庶民とは根本的に異なるのだろうと思います。人間を使い捨てることに対する罪悪感も、私達庶民とは全く異なる様ですけど。

  1. 2013-10-29 22:54
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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