2014-06-17 21:40

前提条件が変われば結論も変わる


「朝鮮半島の有事で現地から日本の民間人らを米軍が避難させる計画は日米間で一度議論されたものの、最終的に米側に断られた経緯がある」。6月16日の朝日新聞朝刊記事、「『米艦で邦人救出』想定、過去に米は拒否 集団的自衛権」からの抜粋だ。

朝日の意図は明確で、安倍総理が示した集団的自衛権の想定事例に対する反論だ。邦人を救助した米船舶の警護は、わざわざ船上で子供を抱き不安そうな母親が描かれたフリップまで用意して、安倍総理が国民に対して訴えた目玉事例である。

この事例には、朝日新聞だけでなく多くのメディアや有識者(笑)が異論を唱えており、「有事になったら米軍ではなく民間の飛行機や船で逃げるはず」、「精強な米海軍に海自の警護など不要」、「米軍を攻撃する国がどこにあるか」、などと主張している。

確かに一理あるけれど、不測の事態に備えるのが国民の命を守る国家の責務だ。移動規制や戒厳令や暴動により、民間人の中には逃げ遅れる人々も出てくるかもしれない。また、米軍がいくら屈強でも日本の支援で負担が減るなら歓迎するだろう。

集団的自衛権反対派は原発反対派とイコールだ。反戦・反核の延長線上に反原発がある。笑えるのが、彼らは原発においては想定外を許さず、あらゆる最悪の事態に備えたゼロリスクを要求するくせに、集団的自衛権ではそうしないことだ。

反原発派は「市民を守るため」と称し、可能性に可能性を重ねて非現実的な高さの津波や震度を想定し、テロによる攻撃や隕石衝突のリスクにまで警鐘を鳴らし、隣接市町村及び30キロ圏内の市民の避難計画作成を要求している。

ならば、有事の際に国民の命を守るため、同様に最悪の事態を想定するべきだろう。だいたい、韓国政府や自治体は有事における在韓日本人の避難計画など策定していまい。それを「軍が来る前に民間機で逃げているはず」、とは何たる無責任か。

そんな詭弁が通用するのなら、自身や原発事故が起きても「避難計画なんか無くても市民は勝手に退避する」、「津波警報が流されれば全員自主避難する」、と主張できてしまう。言うまでも無く、現実的にありえない机上の空論である。

過去に米軍が邦人救助を拒否したことについて、朝日新聞及び集団的自衛権反対派は、安倍総理と集団的自衛権の息の根を止める決定打と考えたはずだ。米国が邦人救助を拒否した事実は、安倍総理の示した事例の前提を根底から覆す。

しかし、前提条件が変わると結論も変わるのは、安倍総理の個別事例だけでない。米国の判断も同様だろう。朝日のスクープは、何年の、いかなる性格の会議で、どんな理由により拒否されたか、必要な情報が何も書かれていない。書くと不都合があるのだろう。

確かなことは、これまで自衛隊による米軍支援が邦人救助の条件に含まれていなかった。つまり、米国は片務的な義務を要求された。「アメリカ軍は日本人を助けよ」、「でも自衛隊はアメリカ軍を助けない」、これでは拒否されても仕方あるまい。むしろ当然だ。

現在は当時と条件が異なる。米軍による邦人救出は片務的義務ではなく、日本も国民を守るため米軍を支援する。集団的自衛権はアメリカの国防にも資するし、オバマの国防費削減に悲鳴を上げる国防総省は、安倍総理の積極的平和主義を歓迎するはずだ。

したがって、集団的自衛権を前提に加えて議論すれば、アメリカが邦人救助を容認する可能性は高まると考えるのが自然だ。朝日が前提条件の異なる過去の事例を持ち出したのは、集団的自衛権に係る姑息で卑劣な印象操作・世論誘導に他ならない。

安倍総理が就任して以来、朝日新聞の理性を欠いた安倍バッシングには目を覆うものがある。17日の朝刊など、社説でもコラムでもない普通の署名記事に「(安倍総理は)無責任だ」と書かれていた。自称クオリティーペーパーのクオリティは下がる一方だ。



朝日:「米艦で邦人救出」想定、過去に米は拒否 集団的自衛権
http://www.asahi.com/articles/ASG6G1FCYG6FUTIL06L.html
 大詰めを迎えた集団的自衛権の行使をめぐる与党協議で、朝鮮半島での有事(戦争)で「避難する日本人を乗せた米艦を自衛隊が守る」との想定が、注目を集めている。しかし、過去の日米交渉で米側はこの場合の日本人救出を断っていた。首相がこだわり、行使に慎重な公明党もこれなら容認できるとみる想定だが、現実には「日本人の米艦乗船」は極めて困難だ。
 「近隣諸国で紛争が起こって、逃れようとする邦人を輸送する米国の船が襲われたとき、その船を守れなくていいのか」
 11日の党首討論。安倍晋三首相は朝鮮半島の有事を念頭に訴えた。集団的自衛権行使の検討を表明した5月15日の会見でも、この例をパネルで示して強調。公明党も「この例に絞るなら集団的自衛権を認められる」(関係者)として、「限定容認」する方向で調整に入った。
 北朝鮮と向き合う韓国に在住する日本人は約3万人。「米艦による日本人救出」とは、戦争が起きた時に日本への避難民を運ぶ船や飛行機が足りないとみて、米軍に輸送の一部を依頼する想定だ。首相や公明がこの例に着目するのは、日本が直接攻撃を受けていない時に米軍を守るのは集団的自衛権の行使に当たると主張できる一方、日本の近くで日本人の命を救うと訴えれば、国民の理解も得やすいと考えるからだ。
 しかし実際には、朝鮮半島の有事で現地から日本の民間人らを米軍が避難させる計画は日米間で一度議論されたものの、最終的に米側に断られた経緯がある。





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コメント

>朝鮮半島の有事で現地から日本の民間人らを米軍が避難させる計画は日米間で一度議論されたものの、最終的に米側に断られた経緯がある。

 これだと自衛隊の海外派兵を認めないと在外邦人の安全を確保できないのは明白だって事になります。

 朝鮮有事でも米軍が何とかしてくれると言う前提があるから、邦人保護の為の海外派兵を考えて来ないで済んだのに、米軍が拒否するのでは、自衛隊を派兵するしかないではありませんか?

 こうなると今の憲法では絶対に在外邦人を保護できないと言うことなのです。

 朝日はこれを認める気でしょうか?
  1. 2014-06-17 23:20
  2. URL
  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

保守陣営もダブスタはしない

ようにすることが肝要です。

リベラルという名のサヨク勢力のダブルスタンダードは今に始まったものでなく彼らの存在そのものがダブルスタンダードというか矛盾に満ちたものです。

保守派は彼らのように都合のいい理論を振り回すのでなく、確固とした思想と基準で何事にも対応したいものです。
  1. 2014-06-18 08:30
  2. URL
  3. Rascal #-
  4. 編集

To よもぎねこさん

こんばんは。

ところがどっこい、朝日は自衛隊派遣を認めないでしょうね。
朝日新聞などの反戦主義者共は理屈じゃありませんから。

じゃあどうしろと言うのか。
そう、そりゃもちろん「話し合い」ですね。

日本には憲法第九条があることを示し、過去の反省と共に誠意をもって話し合えば、半島有事なんて起こるわけがないのです。起きたら朝日の言う通りにしなかった安倍総理のせいです(笑)。


  1. 2014-06-18 20:15
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

To Rascalさん

こんばんは。

存在自体がダブスタ、その通りですね。ダブスタのくせにそれを無視して偉そうなこと言うから、理屈もへったくれもないカオスな論調になって、矛盾を言い訳で塗り重ねてますます理解不能の主張が飛び交います。

これに対峙するには、仰る通り保守派が何事にも動じない確固たる信念を貫き通すことですね。その点については、安倍総理なら心配いらないと思います。

  1. 2014-06-18 20:19
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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