2014-08-29 22:36

地震の5分後に20メートルの津波が来るとしたら・・・?


8月26日、日本海側の大規模地震に関する政府の有識者検討会が、日本海側で想定される最大規模の津波についての推計を公表した。それによると、最も規模が大きいのは北海道のせたな町と神恵内村で、20~23メートルの津波が地震発生の5分後に到達するらしい。

せたな町(人口8900人)と神恵内村(人口970人)をグーグルマップの衛星画像で確認すると、海縁に住宅街が広がっていることが分かる。地震の5分後に20メートルの津波が襲えば、町村併せておよそ1万の住人のほぼ全員が、避難する間もなく死亡するだろう。

この衝撃的な報告を受けて、北海道新聞が「日本海側地震 津波避難に猶予はない」とする社説を掲載した。うむ。5分後に津波が来るのだから、誰が考えても津波から避難する時間的猶予は無い。町村役場は、直ちに計画的な転居計画を策定せねばなるまい。

ところが、どうも北海道新聞の言いたいことは全然違う様だ。

北海道新聞が言いたいことは、想定される津波に対する防災・減災計画の促進で、「地震と津波はいつ発生するのか分からないのだから、そういう意味では津波対策にかけられる時間的猶予は無い」、「だから対策を急げ」、と言いたいらしい。

社説において、北海道新聞は以下の防災・減災対策を求めている。

・地域住民は日頃から避難路・避難先を確認し訓練を怠らない
・地域住民は冬場や深夜に逃げられる装備を用意しておく
・行政は住民への情報提供を迅速化させる
・行政は津波ハザードマップ(災害予測地図)を見直す
・行政は高齢者や体の不自由な人の避難方法を検討する
・行政は発生確率を算出する


いやいやいやいや、おかしいでしょ(笑)。

地震発生5分後に20メートルの津波に襲われたら、常識的に考えて避難は間に合わない。

ある日突然、グラグラと大きな揺れに見まわれて、「おお!、こりゃ何だ何だ!?」、と困惑したり家族知人の安否を確認したり、とりあえずテレビやラジオをつけて情報確認している間に時間切れ、暗く冷たい津波にのまれてあの世行きだ。

地震発生から5分以内に防寒着に着替えて指定避難場所まで辿り着く超人的避難訓練とか、同時に高齢者や障害者を避難させる魔術的方法を探すとか、見直すまでもなく真っ赤なハザードマップを塗り直すとか、北海道新聞は本気で言っているのか?(笑)。

無理だから。地震発生5分後に20メートル以上の津波が来れば、どう考えても避難なんて出来っこないから。

有識者検討会によると、最大津波が予測されるせたな町と神恵内村以外にも、稚内・礼文・奥尻・天塩等は、地震発生後1分以内に5~19メートルの津波が襲う。避難も何も、揺れが収まる前に津波が到達しかねない。こちらも甚大な被害が予想される。

避難訓練など無駄だ。「川をきれいにしましょう」と言って、河原のゴミ拾いだけして「きれいになった」と満足するアホ共と同じレベルだ。巨大な防潮堤を建造するか、街を丸ごと高台移転させるか、とっとと引っ越すか、命を守るための選択肢は限られている。

北海道新聞は報告書に向き合い現実を直視せよ。

人命第一なのだろう?。人命を守るため原発に巨大防潮堤の建造を要求するのでから、直接的に人命を守るための防潮堤も要求すれば良いではないか。防潮堤を作っている間に震災が発生するか場合もあるから、直ちに転居を促せば良いではないか。

防災とか減災とか避難訓練とか、小賢しい対策を偉そうに社説で披露するな。これだから、反原発メディアは信用出来ないと言うのだ。

ちなみに、もしno-risuが当事者ならば、有識者検討会の報告など無視する。どうせ、可能性に可能性を重ねて作られた非現実的な想定だ。発生する可能性は極めて低く、そんなものに怯えて生活するなんて真っ平ゴメンである。津波の前に心労で寿命が縮む。

有識者検討会の報告を無視して、本当に巨大地震と津波が発生したらどうするか?。それはその時に考えればよろしい。なるようになるさ。




北海道:日本海側地震 津波避難に猶予はない
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/559394.html
" 檜山管内せたな町や後志管内神恵内村には20メートルを超える津波が押し寄せる。稚内市には地震発生からわずか1分で到達する―。
 日本海側の大規模地震が起こす津波の推計を、政府が初めて発表した。
 日本海側の津波は、地震規模の割に大きい。それも時を置かずに来襲するという特徴がある。"
" 地域住民は大きな揺れを感じたら、収まるのと同時に避難を始めなくてはならない。日ごろから避難路・避難先を確認し、訓練を怠らないことが大事だ。
 冬場や深夜に逃げられる装備も欠かせない。
 津波推計は、地震や津波の専門家を集めた政府の調査検討会が昨年1月から着手。震源になり得る60の海底断層を選んで、津波の高さや到達時間を割り出した。"
" 注意が必要なのは、家屋が密集する平地にも高い津波が想定されたことだ。小樽市に3・9メートル、石狩市に4・8メートル、稚内に7・1メートルと市街地も被害を免れない。
 津波は70センチで立っていられなくなり、2~3メートルで木造家屋がほぼ倒壊するとされている。エネルギーは想像を超え、侮れない。"
" 政府には津波の察知と自治体、住民への情報提供の迅速化を求めたい。道は浸水範囲を自治体ごとに特定する津波浸水予測図の作成を急ぐ必要がある。
 沿岸自治体は津波ハザードマップ(災害予測地図)の見直しはもとより、奥尻島を中心に230人もの犠牲者を出した1993年の北海道南西沖地震の教訓を共有することが不可欠だ。"
" 時間との戦いの中で、高齢者や体の不自由な人をどう避難させるか。取り組む課題は少なくない。
 地震から数分で津波が到達する過酷な状況は、南海トラフ巨大地震が想定される静岡県の沿岸自治体と似ている。
 避難路の確保や避難訓練、ハザードマップづくり、避難タワーの建造などが進められており、参考になる点があるはずだ。道は情報収集に努めてほしい。 "
" 泊原発など沿岸各地の原発では、津波高が各電力会社の想定を上回るところはなかった。
 だが、「想定外」が現実に起こりうるということを突きつけた東日本大震災を忘れてはなるまい。"
 政府は南海トラフ巨大地震、首都直下地震の被害想定に続き、日本海側地震の津波推定を終えた。次は北海道太平洋岸の500年間隔地震に目を向け、将来の発生確率などを割り出してもらいたい。





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コメント

地震津波の実況生中継を聞いた事が有ります

始めてコメントします。短足おじさん(2世)と申します。よろしくお願いします。
よもぎねこさんのブログで時々すれ違っていると思います。日本の定跡ブログは何時も興味深く拝見させていただいています。

所で地震発生後5分で津波到達では避難出来ないとのご意見で、仰ることは理解できるのですが、実は私は「せたな町」のすぐ沖が奥尻島でして、北海道南西沖地震の悲惨な津波被害を出したところです。
そしてここからが私の経験。実はこの時全く偶然ですが奥尻島青苗地区にNHKのスタッフが入っていました。そのスタッフが地震直後、(地震の5分後位)非難した高台から電話でレポートしていまして、これがNHKラジオで全国放送。私は愛知県在住ですがこの放送を聞いたわけです。
今でもそれをありありと思いだせるくらい凄い報道でした。
「NHKの〇〇です。地震だ、津波が来るぞ、すぐ逃げろと地元の人に言われ、今高台につきました。辺りは停電で真っ暗ですが町の方から高台に避難する人の懐中電灯の光が続々とこちらに向かっているのが見えます。皆さん津波が来るぞ、逃げろ。高台に逃げろ。こう言っています。アッ、津波が来たようです・・・、早く逃げてください・・・」、こんなモノでした。

この地震津波についてはwikiに記述が有ります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93%E5%8D%97%E8%A5%BF%E6%B2%96%E5%9C%B0%E9%9C%87

このwikiに
>災害当時NHKの教育番組制作のためのスタッフが奥尻島青苗地区に滞在中であった。スタッフはカメラ一台とテープだけを持って高台に避難した[11]。その後函館局と電話がつながり、取材班のディレクターが電話リポートを行った
こんな記述が有りますが、この電話リポートを聞いた事が有るという事です。
この青苗地区は津波被害とその後の大火で町gは壊滅しましたので、ご存知かと思います。
調べてみると地震発生は夜22時17分、青苗地区には5分後には地震のだ飯パが到達したらしい。
そして青苗地区は353世帯1015人が住んでいたが、死者・行方不明者は107人だったそうです。人口の1割が死んだと捉えるか、9割は生き残ったと捉えるか・・・
何せ20年以上前の、それも夜遅く帰宅途中のクルマの中で聞いた話です。時間など多少ずれは有ると思いますが、ご参考までに。
なおこの話は私もブログで取り上げたいと思います。
  1. 2014-08-31 07:35
  2. URL
  3. 短足おじさん二世 #-
  4. 編集

北海道新聞なら巨大防潮堤を国の予算で造れとデカデカと書くと思っていたのですが、訓練の強化ですか。それはそれでOKですね。

norisuさんがいう様に、東大の地震学者やその取巻き連中は発生確率を具体的に示さない、ただの可能性論者です。

災害で致命的と考えられるのは、巨大隕石の衝突です。直径5㎞の隕石が地球に衝突すると直撃でなくても超々巨大大津波が発生します。その発生確率は5000年に一度とも言われています。

可能性あるものに対策するのなら、どうして隕石衝突に対策しないんだと言いたいです。

1000年に一度の大地震/大津波対策でも合理的に可能なものなら実施するのには反対しませんが、あまりに非合理なものは費用対効果で排除すべきです。例えば、50mの防潮堤。


  1. 2014-08-31 10:52
  2. URL
  3. Rascal #-
  4. 編集

想定

こんにちは。
そうですよね。有効な対策など、本当に市町が引っ越す…というか、市町を廃止して新しい市町を作るしか無いです。
でも、そうした自治体の自殺と復活とも言える異次元の取り組みにチャレンジする市町は、やはり無いんですよね。
現実に津波で甚大な被害を被った東北の市町ですら高台移転に向けた合意形成は五里霧中でなかなか進みません。
短足おじさん2世さんと同様愛知県在住のもらもらは、南海トラフ巨大地震のどえらい想定に向き合っています。
こちらでは、①想定しうる最大最悪の想定と②過去に実際に起こった最大級の地震を考慮した想定の二種類の想定が公開されております。
マスコミ等が取り上げて話題になるのは、東日本大震災の後に想定された①…
一方、行政等が実際に対策を講じる為のベースとする想定は、①よりも、②の方を使うことが多いです。
この②は、実は震災前から東海・東南海・南海大地震と呼称されてきた、南海トラフ地震の想定なのですね。
①の想定にはまともに対応できないからです。というか、②に対してすら、まだ全然取り組みが足りてません。

とはいえ、そんな可能性に可能性を乗っけた(実際に①を想定した研究者もこういう表現を使ってました)あり得ないレベルの地震を、実際に東北が体験してしまい、それを目の当たりにした以上、想定しない訳にもいきません。

で、このあり得ない想定を役立たせる事が出来るとすれば、結局個人による自助という事になると思います。
要は危険な市町から各家庭が安全な土地に引っ越すという事です。

実際に名古屋大学では、そんなアナウンスを始めています。定年退職とか子供の独立とか、家庭が新たな住まいを目指すときに、防災減災の考えを取り入れて、少しずつ、安全な土地に人が移り住むようにしましょうと呼び掛けています。
言われるまでもなく、ほんのわずかの人にしか届かないのでは…それに、間に合わないよね…という取り組みです。
無駄な足掻きではないかとも思います。

でも、だからと言って足掻くのをやめるべきだとは思いません。
南海トラフ地震の被害想定地域である東海から関西にかけては、日本の経済の心臓部です。
ここを襲う震災からの回復をどう早めるのか…国の浮沈を賭けた戦いになります。
叶わぬまでもせめて一太刀、僅かでも犠牲を減らす取り組みを続けなければ、先に被害に遇われた方々に申し訳がたたないのです。犠牲を生かせないのです。

しかし(でもしかが多い文章ですね)こんな凄い災害に、精神論であたっても、実際しょうがない訳で…
どうすれば良いのか、行政に何を促せば良いのか、自分の出来ることは何か、悩み考えつつ歩いている私にとって、このエントリーの突っ込みはとても有難いお話でした。
3年前からボランティアベースで被災地支援とか、防災啓発に取り組んできたので、色んな想いがある分スッキリと纏められません。
グダグダのコメントでご迷惑おかけします。


  1. 2014-08-31 12:14
  2. URL
  3. もらもら #Fldqm66o
  4. 編集

To 短足おじさん二世さん

こんばんは。

もちろん存じております。よもぎねこさんもそうですけど、クオリティの高いエントリーを書かれますよねぇ。嫉妬しちゃいますよ(笑)。

津波と非難の実例、これは私は知りませんでした。東日本大震災が発生するまで、阪神淡路くらいしか興味が湧かなかったんですよね。縁もゆかりも無い遠方の地で、そこそこの災害が発生しても、やっぱり他人事なんですよね。我ながら冷たい人間です。

で、教えていただいた実例には考えさせられるものがありました。確かに、同じ地域でも住んでいる場所や初動次第で助かる人も多いのでしょうね。したがって、私は「どうやっても助からない地域の人々を特定して移住させるべき」といった論を展開するべきだったのかもしれません。

なのに、私は避難訓練そのものを否定していますから、これは異論反論食らって当然ですよね。ちょっと浅はかでしたねぇ。。。


  1. 2014-08-31 19:47
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

To Rascalさん

こんばんは。

このエントリーは若干考察不足の点があって、そのことについては「二世さん」のコメントと返信を読んでいただけると助かります。

さて、仰られるように、リスク管理の観点からは発生確率も重要なポイントですよね。紙の様に薄い確立だとしたら、それに多大な時間と金を注ぎ込んだり、防災だからと自然環境を破壊しても良いものか。

リスクとメリットを秤にかけて、何が適切なのかを地域で考えるべきだと思います。隕石なんぞは、各自で避ける訓練でもしてもらいましょう(笑)。


  1. 2014-08-31 19:52
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

To もらもらさん

こんばんは。

このエントリーには、若干考慮不足の点がありまして、そのことについては上のコメントで確認していただけると助かります。

さて、実は私も東海・東南海地震が発生すれば津波に飲まれかねない地域に住んでおります。当日どこにいるか、会社か通勤途中か自宅か、場所によっては津波から逃げられません。可能性は半々、といったところです。

ですが、そのことが分かったからと言って、私の生活や行動は何にも変化していません。まわりも同様ですね。みんな、大した根拠もないのに「自分は何とかなる」と考えちゃうのでしょう。もしくは諦めているか。よくないことだと分かってはいるんですけどね(笑)。

ちなみに、私は高台移転や高台化の造成には反対します。とくに報告はしてませんけど、震災後の女川の街を見てきました。山の壁に線が引いてあって、「そこまで土をもって高台の街に造成する」と聞き、私は唖然としましたよ。話が進まなくて当然だと思います。

過去の事例に学び何としてでも抵抗する、そういう考え方もありだと思いますよ。間違っていないと思います。ただ、私は例えば巨大な防潮堤を作って自然と隔絶した海辺の町を作ったり、避難訓練に血眼になったり、莫大な税金を注ぎ込んだり、そういう「努力」って好きにはなれないんですよね。

自然は受け入れるもの、20メートルの津波が来たら町は壊滅するもの、当該地域に住むなら覚悟するもの、そんな風に考えますよ。だから、行政に過度な要求はしませんし、行政が過度な対策を立て税金を注ぎ込んだり、外部がそれを求めることには賛同しまねますねぇ。

まあ、個人的な価値観ですけどね。


  1. 2014-08-31 20:08
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

おはようございます。

ちょっと論旨が違っちゃうかもしれなく恐縮なのですが、私は特に脱原発系のメディアが「ソフト重視」の対策「ばかり」を声高に叫ぶのはおかしいと思っています。この北海道新聞もそうですが。

no-risuさんのおっしゃるように人間の行動で震災から逃れるのは限界があるのではないでしょうか。
ハード面での減災・防災対応が必要不可欠だと思います。

デフレで総需要が枯渇している今日この頃ですし、減災・防災対策で堂々と公共事業が行われることを希望しています。
  1. 2014-09-01 07:09
  2. URL
  3. toshita1967 #-
  4. 編集

To toshita1967さん

こんばんは。

確かに脱原発派はソフト一辺倒の面がありますね。理由と言うか、そのあたりの彼らの心理は私にはよく分かりません。公共事業=悪者、といった考えの人も多いかもしれませんが、それが全てとも思えません。なんででしょうねぇ。

このエントリーは津波の話なので、防潮堤の公共事業についてだけ言えば、私は大反対です。無駄とは言いませんけど、海辺の町が海が見えなくなるほどの防潮堤を作ったら、その町の価値がなくなると言うか、それはもう人々が故郷と愛する町とは別物だと思うんですよね。

そうまでする必要があるのかと。どうせ大金かけるなら、シェルターでも作った方がマシです。まあ、町は壊滅しますが、それはもう仕方ないことかと。

いずれにせよ、必要な公共事業はどんどんやるべきですが、道路とか橋とかトンネルとかライフラインとか、優先度愛の高そうな工事は無数にあるので、まずはそちらから金をかけてほしいもんです。


  1. 2014-09-01 20:58
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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