2014-09-22 21:12

科学的根拠無し、法的拘束力無し、実効性無し、ウナギ絶滅まったなし


うなぎ


絶滅一歩手前のウナギ資源を守るため、日・中・韓・台が養殖量の2割削減で合意した。これを受け、マスコミは養殖業者や料理屋を取材、「値上げに繋がるかも知れないが、将来食べられなくなるくらいなら規制もやむなし」といった声を紹介している。

それらの報道からは、「2割削減は非常に厳しい」、「資源保護のためには我慢するしかない」、「苦悩する関係者」、といったニュアンスが伝わってきた。

馬鹿野郎。今回合意した「養殖量の2割削減」では、どう考えても資源保護どころか絶滅まっしぐらだ。ウナギ関係者は危機感が足りない。本気でウナギ資源と文化・伝統を守りたければ、甘っちょろい規制でお茶を濁した政府を糾弾すべきである。

まず、法的拘束力が無い時点で規制は無意味だ。法的拘束力があっても従わない中国が、ただの口約束を遵守するわけがない。守った事業者が馬鹿を見る規制など、中国だけでなく日本のウナギ養殖業者だって無視するだろう。

サプライチェーン構造的にも実効性はゼロだ。規制は養殖業者にお願いするもので、シラスウナギの漁業者に漁獲規制は課されない。漁業者は獲れるだけ獲ってくる。養殖業者が受け取り拒否しても、漁業者は海に戻したりはしない。

わざわざ高い燃料燃やして海に出るならそこらに捨てるだろうし、捨てるくらいなら養殖業者が買うだろう。また、シラスウナギの密漁は暴力団等の資金源だ。というか、貴重な供給源として黙認されており、すっかり癒着構造ができあがっている。

暴力団が密漁シラスウナギを持ち込めば、それを拒絶する・拒絶できる業者はいないだろう。今ですらそんな有様なのに、行政が積極的に介入もせず業者ら任せで関係が絶てるものか。

そもそも、今回の養殖2割規制の「2割」に科学的な根拠が無い。致命的欠陥だ。規制の根拠が無ければ法規制も出来ない。しかも、2割なんて前例を作ったせいで、今後規制強化するとき「2割からどれだけ増やすか」をチマチマと議論することになる。

さらに、削減の基準が本年であることも問題だ。2014年は、近年珍しくシラスウナギが豊漁だった。豊漁と言っても、全然獲れなかったこれまでと比較した相対的豊漁で、規制せずとも来年・再来年の漁獲量は2014年比で激減することが予想される。

シラスウナギの漁獲量は、50年前に200トンあったのが、株価チャートのように増減を繰り返しながら、見事なまでに減少の一途を辿り、10年前で20トンに減り、昨年2013年は5トンにまで落ち込んだ。たまたま豊漁の本年を基準にした2割削減など無意味だ。

資源保護するならば、直近最低漁獲量の5トン以下に漁獲規制を実施し、中国・台湾には輸入規制で実効性を担保するべきだ。彼らは日本のニーズに応えているだけで、その日本が国内業者に規制を課さず輸入も規制しないのでは怠慢の誹りを免れまい。

何が2割削減か。2割に削減(8割カット)しろと言いたい。確実に資源回復を期待できる水準で漁獲規制と輸入規制を強行し、資源回復に応じて規制緩和するべし。関係者からは悲鳴が上がるだろうが、業界の将来のためにも今は我慢してもらうしかない。

我々消費者も、出来ることから協力しよう。簡単簡単。スーパーやファストフードに溢れている、安い輸入ウナギの蒲焼きやドンブリは絶対に買わないこと。ウナギを食べたくなったら、ちゃんとした専門店に行くこと。ただそれだけで良い。




読売:ウナギ養殖規制 資源保護の実効性が問われる
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140918-OYT1T50195.html
" ウナギを食べ続けられるよう、資源保護の取り組みを強化したい。
 日本と中国、韓国、台湾が、ニホンウナギの養殖量を、2015年から2割減らすことで合意した。ニホンウナギの資源管理に関する初の国際的な枠組みだ。"
" 養殖に使う稚魚の「シラス」は乱獲で激減している。日本の13年の漁獲量は約5トンで、1970年代半ばの10分の1にすぎない。日本にウナギを輸出する中国などでも漁獲量は低迷している。
 資源の枯渇を防ぐため、最大の消費国である日本が非公式協議で提案し、養殖場に入れるシラスの量を規制することになった。"
" 法的拘束力のない「紳士協定」とはいえ、4か国・地域が危機感を共有し、資源保護で足並みをそろえたことは評価できる。
 資源管理で合意した背景には、ニホンウナギの乱獲に対する国際社会の厳しい見方がある。"
" 国際自然保護連合(IUCN)は今年6月、ニホンウナギを「絶滅危惧種」に指定した。このため2016年に開かれるワシントン条約の会議で、輸出入制限の対象になる可能性が出ている。
 対象になれば、国内消費の6割を輸入に頼る日本が困るだけでなく、輸出が制限される中国などの養殖業者も打撃を受ける。"
" 日本提案に当初は反対した中国や台湾が受け入れたのは、自国の養殖業者を守る狙いだろう。
 ワシントン条約の制限を受けないためには、養殖量の削減を着実に実行し、資源保護の成果を上げることが重要だ。
 2割の削減幅には科学的な根拠はないという。資源回復の効果を検証し、不十分な場合は削減幅の上積みが求められよう。"
" 資源管理の対応は、各国・地域の業者などに委ねられる。
 規制の順守状況の確認は、養殖業者らが作る民間の自主管理組織が担う。これらの上部団体として国際的な非政府組織を設立し、状況を報告し合うという。"
" 規制を徹底せずに、ニホンウナギの減少が続くようだと、養殖業者は自らの首を絞めることになる。それを自覚し、積極的に取り組んでもらいたい。
 合意を国際条約に基づく協定に格上げし、拘束力を持たせることも、今後の検討課題だ。"
 養殖規制によってウナギが品薄になり、価格が高止まりするとの見方は多い。消費者の懐に響くのは確かだが、ウナギという大切な日本食を守るために、必要なコストである。





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コメント

こんばんは。

資源保護が目的ならば、全世界で日本ウナギと全ての近縁種を向こう10年漁獲、養殖、流通、販売禁止にすべきでしょう。2014年比2割削減というのはおためごかしに過ぎません。
他の魚種では、一定期間全面禁漁による漁獲高上昇の前例があると見聞きしたことがあった記憶が・・・。

当然カンガルー殺戮年間300万頭も、向こう10年間禁止と言うことで。さすれば日本も向こう3年くらいは捕鯨禁止でもいいかと。殺戮数比で言えばもっと短くてもいいでしょうが。
  1. 2014-09-23 20:20
  2. URL
  3. koguma #-
  4. 編集

Re: タイトルなし

こんばんは。

禁漁による資源回復の例では、ハタハタなんかがそうですね。もっとも、破滅的に捕り尽くしてしかたなく禁漁したのですが、それでも近年では漁獲できるようになりました。成功例ではありますが、そこまで追い詰められないと資源保護出来ない日本の実情を曝け出しているとも言えそうです。

捕鯨は別問題ですけど、もう国際捕鯨委員会は脱会で良いのではないかと。あんなものはイデオロギーの会合で、いくら話し合っても無駄だと思うんですよね。相手にするだけ状況が悪化する。捕鯨国だけで仲良くやってりゃ良いと思います。


  1. 2014-09-23 21:03
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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