2014-10-24 20:34

新聞の読み方


新聞記事は「見る」のではなく「読む」、no-risuが常々心がけていることだ。記事をそのまま受入れるのではなく、記事に考察を加えて吸収する。メディアリテラシーというやつだ。報道を素直に受け入れるなんて、脳味噌に毒情報を蓄積させる様なもんだ。

テレビの報道は「読む」ことが難しい。じっくり読み返せる新聞だからこそ可能な作業である。ちゃんと読まないのなら、新聞に金を払うよりドブに金を捨てた方がマシだ。新聞なんてストレスの塊で、読まない方が精神的に穏やかな生活を送ることが出来る。

さて、今回は新聞の読み方について書こうと思う。というのも、解説するにうってつけの記事を産経新聞が配信したからだ。産経新聞を褒めるわけではない。「読まなきゃキケン」と判断するべき、しょうもない記事を産経新聞が書いた、と言うこと。

まずは新聞を「見て」みよう。9月4日の記事で、秋田の女性県議が男性県議と揉めて、女性県議が「呪」「殺」等の文字を含む批判文書をばらまいた、という内容。まずはタイトルから。

産経:「人を呪わば…人を殺さば…」赤文字で批判文 秋田の女性県議が発送
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140904/lcl14090409270001-n1.htm

刺激的なタイトルだ。「呪う」に「殺す」、何ともオドロオドロシイ。この時点で、99%の読者は女性県議にネガティブイメージを抱くだろう。おそらく、「呪ってやる」とか「殺してやる」といった批判文を送りつけたと予想するのではないか。

実は違うのだが、実際に本文を読んでみよう。

 秋田県の女性県議が、他会派に所属する男性県議に対し、赤い文字で「呪」や「殺」という単語を使って批判する文書を関係団体に発送していたことが3日、分かった。県議会は、文書は事実と異なる内容や個人的中傷を含み問題だとして、近く議会運営委員会で対応を協議する。

どこが違うの?、予想した通りじゃないの?、と感じるはずだ。続きを読もう。

 文書を送ったのは、県議会会派「新みらい」所属で現在3期目のこだま祥子氏(59)。男性県議が所属する国政政党をかつて選挙で支援したのに、こだま氏の地元で対立候補を立てようとしていると主張し「恩を仇で返す人でなし」と批判。赤い文字で「人を呪わば穴二つ 人を殺さば穴二つ」などと書いていた。

やっぱり同じじゃねーか!、根暗ババア議員キモすぎワロタ、等と思った人がほとんではなかろうか。無理もない、どう読んでもそうとしか思えない書きぶりなのだから。では、記事の最後の文章を確認しよう。

 こだま氏は取材に対し「自分の長年の思いを仲間に送ったつもり。政治家として間違ったことは何もしていない」と主張している。

こだま議員の釈明だ。

しかし、前段までに「女性議員=悪者」と印象づけられた読者にとって、こだま議員の釈明は不愉快な言い逃れにしか聞こえないだろう。「長年の思い」なんて、「昔から呪うとか殺すとか考えてたのか!」とドン引きするだろう。ですよね?。

はい、そんなあなたは完全に産経新聞に騙されています(笑)。

no-risuの場合、刺激的な記事のタイトルを見た時点で「アヤシイ」と感じる。怪しいから「見る」のではなく「読む」。冷静になって読めば、この記事には判断に必要な情報がいくつも抜け落ちていることに気がつくはずだ。以下に列挙する。

1.「他会派に所属する男性県議」
→誰?

2.「男性県議が所属する国政政党」
→政党はどこ?

3.「恩を仇で返す人でなし」
→仇と言わせるほどの何があった?

4.「人を呪わば穴二つ 人を殺さば穴二つ」
→言葉の用法的に、主語はこだま議員ではない?。

以上の疑問点が明らかにならなければ理解出来ないわけで、普通なら「これじゃ分からん」と判断を保留する。で、多くはそのうち忘れる(笑)。今回は解説なのでざっと調べてみた。調査結果を重ね合わせるとこうなる。

1.「他会派に所属する男性県議」
→誰?
→民主党の幹事長・沼谷純

2.「男性県議が所属する国政政党」
→政党はどこ?
→民主党

3.「恩を仇で返す人でなし」
→仇と言わせるほどの何があった?
→酒席(委員会の懇親会)で、民主党の幹事長・沼谷純県議に、「来春の県議選で潟上に出しますから」、「選りすぐりの人物を出します」等と言われた。※こだま県議のオフィシャルHPより。

4.「人を呪わば穴二つ 人を殺さば穴二つ」
→誰が「人を呪い・殺す」のか、主語は?。
→主語は沼谷。「政治家なら、そのようなことを面と向かって口にする時は、人を呪わば穴二つ。人を殺さば穴二つの覚悟を持って、発言すべきです。酔って言うなど最低です」。※こだま県議のオフィシャルHPより。

さあ、かなり話が見えてきた。もう「魔女県議が男性県議を呪い殺す」、といったネガティブイメージは払拭されたのではないか。そして、「実はかなりショボイ話なのでは・・・」、と真相に気がつき始めたのではないか。いや、気がづいてほしい。

沼谷議員が本当にこだま議員に「恩を仇で返す」発言をしたのか、それは分からない。言ったかもしれないし、それに近い発言をしたのかもしれない。沼谷議員は否定しているようだが、水掛け論は不毛だし、とりあえずは言ったと仮定しよう。

で、事件を要約すれば、「酔っ払った沼谷議員(酔ってなきゃ言わないでしょ)が、こだま議員の神経を逆なでする発言をして、マジギレしたこだま議員が後日に文書で反撃した」、と。ここまで考察が至れば、もう記事を「読んだ」も同然だ。

そして、読んだ先は人によって意見・感想が分かれてくる。ちなみに、no-risuは次の様に考えた。

記事によると、「県議会は、文書は事実と異なる内容や個人的中傷を含み問題だとして、近く議会運営委員会で対応を協議する」そうだ。いやいや、おかしいでしょ(笑)。

酒席の失言をしらふのリアル社会で騒ぎ立てるとか、それを大真面目に県議会で協議するとか、お前らどっちもおかしいから。秋田県議会は学級会かと。仕事しろよと。

さらに、こんなしょうもない揉め事を、さも大事件かの様に歪めて報じた産経新聞の罪も重い。一目瞭然、PV稼ぎで読者のミスリードを狙った記事だ。「地方議員ネタ」のブームに流されたか、くだらん偏向記事を書きよってからに。お前も仕事しろや。

とまあ、no-risuはこんな感じに新聞を「読んで」いる。新聞を「読む」ことの重要性や面白さといったものが、ほんの少しでも伝わると良いなぁと思いつつ、このエントリーを終える。




産経:「人を呪わば…人を殺さば…」赤文字で批判文 秋田の女性県議が発送
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140904/lcl14090409270001-n1.htm
 秋田県の女性県議が、他会派に所属する男性県議に対し、赤い文字で「呪」や「殺」という単語を使って批判する文書を関係団体に発送していたことが3日、分かった。県議会は、文書は事実と異なる内容や個人的中傷を含み問題だとして、近く議会運営委員会で対応を協議する。
 文書を送ったのは、県議会会派「新みらい」所属で現在3期目のこだま祥子氏(59)。
 男性県議が所属する国政政党をかつて選挙で支援したのに、こだま氏の地元で対立候補を立てようとしていると主張し「恩を仇で返す人でなし」と批判。赤い文字で「人を呪わば穴二つ 人を殺さば穴二つ」などと書いていた。こだま氏は取材に対し「自分の長年の思いを仲間に送ったつもり。政治家として間違ったことは何もしていない」と主張している。






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コメント

なるほど

勉強になりました。
目の前の材料(新聞記事)の中に散らばっているポイントをひとつひとつ確定して繋いでいくと、ほとんど別のイメージの出来事が見えてくるのが面白かったです。
イメージ操作も甚だしいのに「嘘」にはなっていないところがいやらしいですね。
こういう情報の読み方は、高校や大学で教えるべきだと思います。

あ…
そうか、日教組には無理か…
  1. 2014-10-26 10:14
  2. URL
  3. もらもら #Fldqm66o
  4. 編集

To もらもらさん

こんばんは。

業界が推進しているNIEは、メディアリテラシーを学ばせるのではなくて、新聞を読む習慣をつけさせる販促活動ですからね。全く期待はできません。大学ならあるいはと思いますけど、学べる生徒の絶対数が少なすぎるのが難点ですねぇ。

>日教組には無理か

騙す側の組織ですから(笑)。


  1. 2014-10-26 21:44
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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