2014-11-13 21:12

見送られた「パチンコ税」の正体


先月末、自民党税制調査会が「パチンコ税」の見送りを決定した。パチンコを賭博と認識し忌み嫌う人々には不満だろうが、パチンコ税は見送られて当然である。何故ならば、パチンコ税は賭博締め付けではなく、業界擁護が目的だったからだ。

今回のパチンコ税に関しては、早くから「合法化問題」が取り沙汰されていた。パチンコ税新設には、パチンコ・パチスロの合法化が必要らしい。最初は意味が分からなかった。現状でも各種税金は徴収しているのに、どうして合法化が必要なのかと。

そのカラクリは、「増税」ではなくあえて「新税」とする仕組みにあった。何と、パチンコ税はパチンコ店に課税せず、換金した客に課税する仕組みだった。で、非合法換金では課税対象にならないから、まずは合法換金にロンダリングせねばならない。

つまり、税調の想定する「パチンコ税」とは、事実上の「パチンコ所得税」である。しかも、所得税のくせに利益に要した経費は考慮されない。10万円使って3万円換金すれば7万円のマイナス所得だが、「3万円儲けた」とだけ認定され課税される。

これとよく似たケースで「外れ馬券経費訴訟」が進行中だ。競馬予想プログラムで大量の競馬馬券を購入し利益を得ていた男性が、「当たり馬券以外の外れ馬券は経費ではない」と国税に指摘され、莫大な所得税を要求された問題だ。

男性は年間約35億円分の馬券を買い、約36億5千万円の払戻金を得た。普通に考えれば1億5千万円の利益だが、外れ馬券を経費に認めない国税は「利益は33億円」と主張した。前者の所得税は7千万円だが、後者なら8億円にものぼる。

訴訟は継続中(国税控訴中)だが、すでに大阪地裁は国税敗訴の判決を下している。ちなみに、男性は「現在の資力では7千万円でも破産」と涙目らしい。まあ、それは払わねばならない金だから、得意の競馬で稼ぎまくってもらうしかない。

さて、外れ馬券訴訟の事例に学べば、パチンコ所得税でも同じ問題が生じると推察される。客のほとんどはマイナス収支で、赤字なのに所得税を搾り取られては納得出来ないだろうし、馬券訴訟を考えれば法的にも無理筋税制である公算が高い。

そもそも、税調はどうしてこんな七面倒くさい新税にしたのか。パチンコ店や関連企業に直接課税した方が簡単で、わざわざ合法化する必要も無い。分かりきった話だ。業界への配慮に決まっている。

直接課税は業界が反発するから、国民負担は厳しくても間接課税で反発を抑えようとした。さらに、業界の悲願である「合法化」という「アメ」も用意した。「換金1%課税&合法化」は、昔から業界が自民党パチンコ議連に提案していたことだ。

自民党税調には、パチンコ議連(時代に適した風営法を求める議員連盟・パチンコチェーンストア協会)から高村・山本・上野などが紛れ込んでいる。どうせコイツらが仕組んだのだ。財政より、国民より、パチンコを合法化したくてたまらない奴らだ。

税と合法化をセットにして議論している時点で、「合法化に対する懸念」を示す資格は無い。国民生活を圧迫する賭博を容認し、10年連続脱税No1業界の要望を聞き入れるための税制議論などあり得ない。税調を利用したパチンコ業界支援である。

パチンコ・パチスロは非合法賭博だ。業界に利する政策など一切認められない。今回は正体がバレる前に見送られたが、業界と癒着する議員が居る限りいずれ復活する。次回こそ、パチンコ税の正体と推進議員の名前が周知されるよう期待したい。




東京:「パチンコ税」見送り 自民税調方針 再増税に配慮
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014102902000126.html
 自民党税制調査会は二十八日、党内で浮上していた「パチンコ税」の導入を二〇一五年度は見送る方針を固めた。携帯電話や航空券を対象とした新税創設も中長期の課題と位置付け先送りする。一五年十月に消費税率を10%へ上げるかどうかの判断を今年末に控えており、家計負担が一段と増す新税は国民の反発を招くと判断した。
 党税調幹部は「若手議員に新税創設に向けた勉強を続けてもらいたい」と話しており、一六年度以降の課題として検討を継続する。
 パチンコ税は、今年二月に設立された自民党の議員連盟が地方の社会保障財源として検討。現行法では、パチンコ店が客に賞品として現金を提供することは禁じられている。これを見直し、出玉をパチンコ店で換金できるようにする一方、客が受け取る現金の一部を税金として徴収する構想だ。
" 現金の1%を徴収すれば年間約二千億円の税収になると見込むが、パチンコ賭博を「合法化」することを懸念する声も上がっていた。
 一方、携帯電話の新税は、自動車税のように保有者に課税する案を念頭に置く。ただ課税根拠が不明確な上、国民の大半が持つ携帯を狙った「大衆課税」には党内に慎重論が根強い。"
 航空券などに課税する「国際連帯税」も先送りする。貧困や感染症対策といった途上国支援の財源に充てる狙いで、超党派の議員連盟が導入を求めているが、議論は広がっていない。






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