2014-12-18 20:55

健全かつ民主的な選挙に「死票」はつきもの


現行の選挙制度に対する批判に、「小選挙区は死票が多い」という意見がある。貴重な1票が紙屑になるのは許せぬと言う。この弊害を緩和するために比例代表制度も併用されているが、小選挙区制そのものを改善するべきであると言う。

ちなみに、時事通信によると今回の衆議院選挙で、小選挙区における死票率は48%だったらしい。48%という数字の意味は追々述べるとして、この一見するともっともらしい死票批判、実は選挙における死票の多少に良いも悪いも無い。

理論的には、死票をゼロにすることなんて簡単だ。全有権者が自民党に投票するとか、独裁国家の名ばかり選挙にするとかすれば、死票は消滅する。しかし、そんなことは誰も望まない。良質で多様な選択肢が示されてこそ、健全かつ民主的な選挙だ。

選挙では、有権者の選択肢が増えれば増えるほど、理論上の死票上限も増加する。1議席を二人の候補者で争えば、最大で49%の死票が発生する。三人なら最大66%、四人なら74%、五人なら79%、十人なら最大89%の死票が発生する計算だ。

今回の衆議院選挙において、小選挙区の死票率は48%だった。「48%!」と聞けば、多くの人が「半分も無駄になった!」と驚き、「半数の民意を切り捨てる選挙はケシカラン!」と憤るだろう。落選候補に投票した人はなおさらだ。でも冷静になろう。

衆議院選挙は定数475議席で、今回の選挙には1200人が立候補した。倍率2.5倍、最大死票割合は59%だ。しかし実際には48%だった。数値が抑えられた理由は、選択肢が必ずしも良質でなかったことと、比例代表制で選択肢を制限したからだ。

さらに死票率を低下させたければ、比例代表の比重を重くして有権者の選択肢を制限するとか、有力候補以外の質を落として当選候補に票を集中させるしかない。それでもまだ、48%の死票率は高すぎるとか低減させるべきとか思われるだろうか。

死票を理由にした選挙批判には、往々にして自民党に対する批判が込められている。2012年の衆議院選挙でも、自民党が得票数に見合わない大量議席を獲得したと問題視された。前回衆院選の候補者は1500、低得票率高死票率は当然だ。

おそらく、死票批判は自民党バッシングの道具なのだろう。だから、マスコミや有識者は死票批判と同時に自民党を牽制し、一方で適正な死票率を示さず望ましい選挙制度についても説明しない。こんな詭弁に、我々有権者は惑わされてはならない。

健全かつ民主的な選挙のため、有権者のニーズに応えて良質で多様な選択肢を用意すれば、必然的に死票も増えてしまう。これは民主主義のジレンマであって、「死票」の言葉から連想するネガティブイメージは、社会の実態を反映していないのだ。

そもそも、有権者の一票を「生き票」と「死に票」に区別することがおかしい。有権者の意思表明である投票行為において、無意味な一票など存在しない。当選候補を選んだ有権者の意思、落選候補を選んだ意思、両者に価値の上下は無いのだから。




神奈川:【照明灯】納得がいかない
https://www.kanaloco.jp/article/81710/cms_id/116667
 「なぜ小選挙区当選者の半分しか票を取っていないのに(比例代表で)復活するんだ」。定数の3分の2を超え自公圧勝となった衆院選。一夜明けた電車内で、老夫婦がそんな会話をしている。納得がいかない様子だ
▼「惜敗」といえないほどの負けっぷりなのに、最後は救われる。他県には3人の候補者全員が当選したという選挙区もある。日付が変わり午前2時を回った本社編集局。比例復活者の名前が決まると、「おぉ」と驚きの声も上がったほどだ
▼一方で、勝利の万歳か、敗者の弁か。復活をじっと待つ候補者は踏ん切りがつかず、事務所で待つ支援者の前になかなか顔を出せずにいたケースも
▼小選挙区比例代表並立制が導入されてちょうど20年。中選挙区時代の派閥政治からの脱却や二大政党時代の実現、政権交代が起こりやすいというメリットがうたわれた。一方で死票が多くなり、小政党に不利。その欠点を補う意味で採用されたのが比例代表制ではなかったか
▼小政党を合体し、小選挙区制の“申し子”と言えなくもない民主党が今のありさまでは、二大政党時代は遠のくばかりである。この制度では国民の価値観の多様な変化を反映できないのではないだろうか。「中選挙区制復活論」も一理あると思った。







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コメント

 100%比例にしたら死票はなくなるけど、支持率から見れば自民が圧勝でしょう。

 しかし小選挙区制は元来、政権交代がしやすくするために決めた制度です。
 2009年の民主党政権もこれで成立したのです。

 小選挙区制に反対ならそれ以前にそう言っておけば良かったのです。

 マジに毎度毎度、自民党が勝って悔しいニダ記事ばかり。 少しは恥ずかしいと思えよ!!

 
  1. 2014-12-19 12:28
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  3. よもぎねこ #-
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だいたい、死票率48%ってのはまやかしですよね。
マスコミはこういう時ばっかり投票率を無視するから卑怯です。
有権者の半分が投票を棄権。
投票者の半分が議席を獲得。
棄権は委任なのですから、投票者の3/4は要望通りの結果を得ていると言えます。
したがって、本当の死票率は25%程度と考えるべきではありませんか。
  1. 2014-12-19 21:53
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  3. ciel #-
  4. 編集

こんばんは。

民主主義制度が機能している日本で、少数のミンイガーと宣うマスコミが、かの金豚3世が100%信任された、キンペーが支那共産党トップになったと報道するも、その理由を明示しない摩訶不思議。
前者の国はたぶん死票100%でしょうし、後者の国は選挙権なんてありませんが。
  1. 2014-12-19 22:07
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  3. koguma #-
  4. 編集

To よもぎねこさん

こんばんは。

制度の内容によりますが、100%比例にしても獲得議席ゼロの政党が出れば死票は生まれます。でも、限りなく少なくなることは間違いないでしょうね。

小選挙区に反対、自民党の圧勝に対するメディアの論調はそんな感じです。ただ、本当にそうなのかよく分からないんですよね。小選挙区に反対なのか、自民党が圧勝したから反対しているだけなのか、そこが分からない。

たぶん、仰るように「自民用が勝って頭きたニダ!」なんでしょうねぇ。

  1. 2014-12-19 23:22
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  3. no-risu #-
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To cielさん

こんばんは。

棄権の扱いについて、マスコミは正面から議論しませんね。その意味や効果も重要ですし、1票の格差にも絡む問題ですし、もっと議論されるべき問題だと思うのですが。

普通に考えれば、投票放棄は委任なので、仰る通り実際の死票率はもっと低いと推察するべきだろうと思います。しかし、サヨクメディアらは自分の都合の良いように考え、「声なき声を聴け!」なんて説教するんですよね。

声なき声は自民党支持かもしれないのに。たぶんそうなのに。

  1. 2014-12-19 23:26
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  3. no-risu #-
  4. 編集

To kogumaさん

こんばんは。

中国では雨傘革命が潰されましたね。マスコミはそこそこ報じてはいましたが、問題の本質には切り込めずに終わった感が強いです。報じられなかったか、報じたくなかったのでしょうね。

選挙権とはそもそも何なのか、一票の意味とは何なのか、そこから報道するべきなのかもしれませんねぇ。


  1. 2014-12-19 23:31
  2. URL
  3. no-risu #-
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