
2月9日、「ISIL事件発生から、政権批判の自粛が社会に広がっている」として、言論人・報道人・表現者ら1200人が、「翼賛体制の構築に抗する言論人・報道人・表現者の声明」を発表した。表現者ねぇ。「我ハ表現者、政権批判スル者ナリ!」。厨二病か(笑)。
さて、この声明で興味深いのは、声明の根拠がさっぱり分からないことだ。1200人連名で記者会見まで行ったのに、具体的なところが何も示されていない。「政権批判の自粛が社会に広がっている」と言うが、根拠が示されなければただの主観だ。
「僕はこう思います!」と言っているだけで、それに1200人も寄せ集まる言論人・報道人・表現者の知性を疑う。根拠と対象が示せない「私の主張」ならば、そんなものに社会が耳を傾ける価値は無い。仲間内だけでやっていればよろしい。
以下に、声明の記者会見における今井と古賀の発言内容を晒しあげるが、これがまた失笑させてくれる。エゴの塊である。よく恥ずかしくないものだ。
・今井一(ジャーナリスト)
「政府が主権者やメディアに監視、検証され、批判されることは当然のこと。批判を控えることは戦前の翼賛体制につながりかねない」。
批判の自粛=大政翼賛会体制の復活。理屈は分かるが飛躍しすぎではないのか。で、誰に言っているの?。
「ISIL事件に関する野党議員の質疑とNHK・民放のニュース番組の放送時間を検証。2日は4分以上報じる民放がある一方、多くが1分以内。約20秒の番組もあった。メディアは自粛しているという自覚がない。非常に危険だ」。
基準の無い比較は無意味だ。自粛と評価されるラインは具体的に何分何秒からなのか、仮に4分であればその根拠は何か説明するべきだろう。これだけでは、今井個人が興味のある話題について、「報道が少ない」と難癖付けているだけである。
・古賀茂明(元経済産業官僚)
「いまは相当危機的な状況に至っている」。
そうか?(笑)。
「1月下旬、コメンテーターとして出演するテレビ朝日の番組で人質事件に絡み『アイ・アム・ノット・アベ』と話したところ、ネット上で『政権批判をするな』などの非難が殺到した」。
古賀の被害妄想か、意図的に事実をねじ曲げているのか、それともただの馬鹿か。古賀が批判されたのは、政権を批判したからではなく、ISIL事件を政権批判に悪用したからだ。その愚劣な人間性に、良識ある多くの国民が憤慨したのである。
「報道の自由が失われるまでに3ステップある」とし、『ホップ』で報道抑圧、『ステップ』で報道機関の体制への迎合(自粛)、『ジャンプ』で選挙による独裁政権の誕生、と指摘した」。
「ホップ=報道抑圧」の時点でおかしい。抑圧されているなら、すでに自由は失われている。これでは「独裁政権が誕生するまでの3ステップ」だ。
正しくは、1.マスコミの偏向・傲慢による信用失墜、2.マスコミが自主改善に失敗、3.世論にも理解されると判断した政治・行政が介入、これだろう。報道の自由を失わせるのは、報道自身の無責任に原因がある。独裁政権に責任転嫁するな。
「報道の自粛が蔓延し、国民に正しい情報が行き渡らなくなりつつあるのではないか」。
意味がよく分からない。「正しい情報=政権批判」と言いたいのか、政権批判に限らず報道自粛が蔓延していると言いたいのか。いずれにせよ、この指摘は間違いと断言出来る。マスコミが供給する情報量は一定で、ISIL事件前後で変化は無いからだ。
ご覧の通り、何を根拠に声明を発したのか具体的・合理的・客観的な説明は無い。根拠が示されない以上、個人的な思いの域を出ていない。要するに、今井も古賀も政権批判への個人的欲求・願望を、報道自粛の問題にすり替えているのだ。
そして、個人的な主義主張を正当化するため、戦前の翼賛体制だの独裁政権だのに結びつける。詭弁としか言い様が無く、自己正当化宣言・無責任宣言が、「翼賛体制の構築に抗する言論人・報道人・表現者の声明」とやらの正体であろう。
実際、声明文(http://ref-info.com/wp-content/uploads/2015/02/「自粛という名の翼賛体制構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」(案).pdf)を読んでもそうとしか思えない。読む価値は無いと思うが、気になる人はどうぞ。
ちなみに、声明によるとno-risuみたく古賀らを批判する人間は、すでに翼賛体制に染まっており、本人はそれに気がついていないらしい(笑)。自分が他人を批判するのは表現・言論の自由で、自分に対する批判は戦前翼賛体制か。これがレッテル貼りだ。
また、声明文は「自身の良心にのみ従い、批判すべきだと感じ、考えることがあれば、今後も、臆さずに書き、話し、描くことを宣言する」と締めくくられている。言われたって止めないくせに、わざわざ声明文にするまでもない。好きにすればいいがな(笑)。
当然のことながら、no-risuも古賀らに対する批判は止めないと宣言しても良いのだろう。我モ表現者、売国サヨクヲ批判スル者ナリ。
朝日:「政権批判の自粛、社会に広がっている」1200人声明
http://www.asahi.com/articles/ASH295SB8H29UTIL039.html
「イスラム国」人質事件後、政権批判の自粛が社会に広がっている――。フリージャーナリストや学者らが9日、会見を開き、「翼賛体制の構築に抗する言論人、報道人、表現者の声明」を発表した。インターネットなどを通じ、映画監督森達也さん、社会学者の宮台真司さん、作家平野啓一郎さんや中島岳志さんら表現に携わる1200人が賛同し、NHKのディレクターや新聞記者も名を連ねた。
「政府が主権者やメディアに監視、検証され、批判されることは当然のこと。批判を控えることは戦前の翼賛体制につながりかねない」。そう指摘するのはジャーナリストの今井一さん。今月2~4日、衆・参院予算委の人質事件に関する野党議員の質疑とNHK・民放のニュース番組の放送時間を検証。2日は4分以上報じる民放がある一方、多くが1分以内。約20秒の番組もあった。「メディアは『自粛』しているという自覚がない。非常に危険だ」
元経済産業官僚の古賀茂明さんは「いまは相当危機的な状況に至っている」。1月下旬、コメンテーターとして出演するテレビ朝日の番組で人質事件に絡み「アイ・アム・ノット・アベ」と話したところ、ネット上で「政権批判をするな」などの非難が殺到。神奈川県警から自宅周辺の警備強化を打診されたという。声明では、「物言えぬ空気」が70年前の戦争による破滅へ向かった、と指摘している。
昨年暮れの衆院選前に政権与党が報道各社に「公正な報道」を要請したことにからみ、古賀さんは当時、「報道の自由が失われるまでに3ステップある」とし、「ホップ」で報道抑圧、「ステップ」で報道機関の体制への迎合(自粛)、「ジャンプ」で選挙による独裁政権の誕生、と指摘した。古賀さんは「報道の自粛が蔓延(まんえん)し、国民に正しい情報が行き渡らなくなりつつあるのではないか」と警鐘を鳴らした。(斉藤佑介)
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