2015-04-29 20:57

テレビ局がヤラセを認めたがらないわけ


クローズアップ現代のヤラセ疑惑について、NHKは調査委員会を設置、「過剰な演出があった」との最終調査報告をまとめた。NHKは籾井会長以下、関係者20人を処分する方針とのこと。つまり、あくまで「演出」であって「ヤラセ」ではないと。腐りきっている。

本疑惑は、NHK記者が出家詐欺について取材を行う際、記者と10年近い関係を持つ懇意の多重債務者と連携し、出家詐欺を知る飲食店従業員をブローカーに仕立て上げ、偽事務所まで用意して撮影された悪質なヤラセである。演出と呼べる代物ではない。

記者は事務所から出てきた(懇意の)多重債務者に駆け寄り、あたかも初対面の他人に直撃取材したかのように「演出」した。当初は多重債務者がブローカー役だったが、出家詐欺の知識を持つ飲食店従業員をブローカー役に変更する「演出」も加えた。

ここまでバレているのに、NHKはあくまで演出と言い張りヤラセは認めない姿勢だ。本当はヤラセと認識しているくせに、過剰でも「演出」だから「ギリセーフ」にして逃げ切る魂胆だ。NHkの自浄作用など所詮はこの程度、自民党が事情聴取するわけだ。

さて、NHKに限らず、どうしてマスコミはこうも徹底してヤラセ認定を拒むのか。理由は単純だ。ヤラセが悪いことだと認識していないからだ。もちろん、彼らに問えば「ヤラセヨクナイ」と答えるさ。でも、本当の意味では理解していない。

ヤラセの罪深さについて、あらためて放送法第9条から確認してみよう。


放送法第9条
1 放送事業者が真実でない事項の放送をしたという理由によつて、その放送により権利の侵害を受けた本人又はその直接関係人から、放送のあつた日から三箇月以内に請求があつたときは、放送事業者は、遅滞なくその放送をした事項が真実でないかどうかを調査して、その真実でないことが判明したときは、判明した日から二日以内に、その放送をした放送設備と同等の放送設備により、相当の方法で、訂正又は取消しの放送をしなければならない。
2  放送事業者がその放送について真実でない事項を発見したときも、前項と同様とする。
3  前二項の規定は、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による損害賠償の請求を妨げるものではない。



ヤラセが発覚した場合、テレビ局は直ちに(二日以内)に訂正・取消し放送せねばならない。つまり、担当者を切り捨てて幕引きを図っても、事件が矮小化するどころか社として責任を負うことになる。二日以内という短い時間的制約も重荷だろう。

また、9条第3項にあるとおり、訂正・取消し放送で罪滅ぼしOK!とはいかない。それはそれとして、ヤラセの被害者は精神的苦痛などの慰謝料を求めるなどの訴訟を起こすことが出来る。もしヤラセを認めていれば、局側の負けは確定したも同然だ。

一部の記者の不祥事で、テレビ局全体の問題として扱われ、訂正・取消し放送をせねばならず、訴訟を起こされれば賠償金を支払わされ、そこまでしても国民の信用を取り戻すどころか、おそらくは火に油でバッシングが続くと予想される。

マスコミは報道の自由ばかり求めるが、自由と対になる責任はこれほど重いのだ。

で、公正さを欠く報道を厳に戒めるための第9条だが、責任感も倫理観も無いマスコミは「そこまでさせられるなら『演出』で逃げたい」と考える。そして、「演出とヤラセの境界は曖昧」と自作自演の議論でヤラセ判断を封じ込める。アホかと。

意図的に事実を歪める演出は全てヤラセだ。そもそも、ヤラセかどうかをマスコミが判断するのはおかしい。マスコミは評価される側だ。まして、「ヤラセと演出の違いが曖昧で判断出来ない」と言うのなら、然るべき第三者に答えを求めるべきだろう。

マスコミは、本当の意味での「報道の自由」を理解していない。自由を担保する責任の重さも、放送法第9条の意味も理解していない。理解したくもない。責任を負いたくないから、自由だけを謳歌したいから、だからヤラセも認めないのだ。




朝日:NHKの過剰演出認める 「クロ現」問題、最終報告へ
http://www.asahi.com/articles/ASH4W6TLFH4WUCLV014.html
 昨年5月放送のNHK「クローズアップ現代」で「記者の指示によるやらせがあった」と指摘されている問題で、NHKの調査委員会は最終報告を取りまとめ、28日に公表する方針を固めた。記者が詐欺の活動拠点を突き止めたかのような番組の構成などについて、過剰な演出があったと認める一方で、関係者の言い分が食い違うことから、演技指導などの意図的なやらせや、事実のねじ曲げがあったとの認定には至らなかったという。
 複数のNHK関係者によると、調査委は27日に会合を開き、最終報告書の内容について外部委員の弁護士ら3人の了解を得た。記者のほか籾井勝人会長や関係理事らの処分も検討するといい、28日のNHK経営委員会に報告したうえで、公表する見通し。
 番組は、出家して戸籍名を変えることで債務記録の照会を困難にする「出家詐欺」の特集。多重債務者に出家をあっせんするブローカーとして登場した大阪府内の男性が、「私はブローカーの経験はなく、記者にやらせ指示を受けた。憤りを感じる」として、NHKに対して訂正を求める申入書を提出し、21日には放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に審理を申し立てている。(後藤洋平、岩田智博)







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