2015-05-07 21:20

マスコミに酒の安売り規制を批判する資格があるのか


衰退する「町の酒屋さん」を救済するため、自民党が「酒の安売り規制法案」を今国会に提出するらしい。量販店との価格差を解消することで、町酒屋の集客を回復させたい狙いだ。町酒屋の業界団体が要望していたらしいが、アホらしいとしか言い様が無い。

確かに、町酒屋が衰退した直接的要因に量販店の存在は大きい。しかし、消費者行動と安売り攻勢はあまり関係無いだろう。量販店の安売りはライバル量販店との集客争いが目的だ。量販店も消費者も、町酒屋などハナから眼中に無い。

消費者が町酒屋を見限ったのは、単純に町酒屋に魅力が無いからだ。価格が問題なら、コンビニの酒類があんなに売れるものか。町酒屋は経営・営業努力を怠り、魅力的な専門性やサービスも無く、利便性の悪い店舗も多く、だから廃れた。

価格差を解消しても、商品ラインナップは量販店と大差なく、酒とショボイつまみしか買えない町酒屋に消費者は足を向けないだろう。価格が同じなら、消費者は選択肢豊富で広い駐車場のある量販店やコンビニを選ぶ。価格操作など無駄な足掻きである。

したがって、自民党の「酒の安売り規制法案」など消費者を泣かせるだけで町酒屋の経営に寄与しない愚策と断じていい。しかし、マスコミにこれを批判する資格があるのだろうか。何故なら、新聞社は新聞特殊指定により販売価格を保護されているからだ。

5月7日、毎日新聞がこのことを社説で扱い、「酒の安売り規制 特別扱いは理解されぬ」と政策を批判した。その通りではあるものの、特別扱いされている新聞社が自分を棚に上げて「理解されぬ」と苦言を呈すのはいかがなものか。

毎日新聞が安売り規制に反対する理由について、社説を要約すると次の様になる。

・酒屋だけ特別扱いするのは理解が得られない。
・不当廉売が問題なら公正取引委員会が厳格に摘発するのが筋。
・酒消費減少の主な原因は高齢化や若者らのアルコール離れ。規制で価格が上昇し、アルコール離れがさらに進めば逆効果。
・酒の規制緩和は、業界の競争を活発にして、経営努力を促し、消費者が低価格で酒を楽しめる契機となった。その原点を大事にすべきだ。


どうだろう。「お前が言うな!」と突っ込みたくなるのではないか。

新聞が特別扱いされていることについて、はたして国民の理解は得られているのだろうか。そんなわけはあるまい。かつて特殊指定が見直されようとしたとき、マスコミは一方的な反対キャンペーンを張り、議論を封殺して改正案を潰した。

公正取引委員会の活用を求めているが、新聞特殊指定を悪用していると新聞業界の違法性を指摘しているのは他ならぬ公取委だ。マスコミは公取委の指摘を突っぱねておきながら、他業界や自民党に公取委の重要性を説くなど卑劣ではないか。

「規制で価格が上昇しアルコール離れがさらに進めば逆効果」とは、まさに特殊指定で価格保護された新聞業界の姿だ。毎日新聞ら新聞業界こそ、「経営努力を促し消費者が低価格で知る権利を享受できる契機」とすべく、自ら特殊指定解除を望むべきだろう。

新聞特殊指定に胡座をかく毎日新聞らマスコミに、酒の安売り規制を批判する資格があるとは思えない。この見解について、多くの人には同意していただけると思う。

そして、マスコミはこういった指摘にもっと危機感を持つべきだ。偏向報道や誤報を批判されるわけではなく、右左の論調に反論されるでもなく、庶民的・一般的な正論を書いてなお批判される惨状を直視せねばならない。失墜した信用を取り戻す姿勢を示せ。

まあ、毎日新聞には無理か。だって、特殊指定の解除で真っ先に経営不振に陥るのが毎日新聞だろうから(笑)。




毎日:社説:酒の安売り規制 特別扱いは理解されぬ
http://mainichi.jp/opinion/news/20150504k0000m070077000c.html
 自民党が酒の安売りを規制する法案を今国会に提出する方針を決めた。量販店などとの価格競争で疲弊した「町の酒屋さん」を救う狙いという。だが、消費者の負担は増す恐れがある。酒屋だけ特別扱いするのは理解が得られないのではないか。
 自民党の案によると、酒税法などを改正し、酒の「公正な取引基準」を財務相が定める。基準に違反して、改善命令にも従わない業者については、罰金を科したり、販売免許を取り消したりできる。
 国税庁によると、酒の小売業者全体に占める酒屋の比率は1995年度は8割近かったが、2012年度は3割強に減った。90年代からの販売規制緩和で量販店やスーパー、コンビニが参入し、対抗できない中小酒屋の廃業が続出したからだ。
 酒の過度な安売りを防ごうと国税庁は06年に取引指針を定めた。だが、法的拘束力や罰則はなく、酒屋の業界団体が規制強化を求めていた。
 ライバル店の排除を狙って、仕入れ原価や製造コストを下回る価格で販売する不当廉売が許されないのは当然だ。だが、不当廉売は、企業の公正な競争確保を目的とする独占禁止法が明確に禁じている。公正取引委員会が厳格に摘発するのが筋だ。
 量販店やスーパー、コンビニは、大量の仕入れのほか、独自の商品開発、流通の合理化などでコストを抑えてきた。安売りが不当な乱売か、正当な経営努力の結果かは、線引きが難しい場合もある。
 「公正な取引基準」の内容は、財務相が審議会に諮って定めるという。だが、基準があいまいになり、背後に免許取り消しという強硬手段がちらつけば、量販店などが萎縮し、問題がなくても価格を引き上げてしまう可能性がある。
 そもそも、なぜ酒屋を特別扱いするのか。町の電器屋や八百屋などでも、量販店やスーパーの安売り攻勢で廃業が相次いだ。中小商店の保護は、地域活性化の観点から行政が対策を講じるべきだ。その場合、経営難の店については成長が見込める業態に円滑に転換できるようにするなど地域全体の底上げにつながる環境整備に徹するべきだろう。
 自民党には「酒屋が急減すると、酒税の円滑な徴収が阻害される」との意見もある。酒屋の経営者は伝統的に自民党支持者が多く、規制の背景になったようだ。だが、酒税収入が減っている主な原因は高齢化や若者らのアルコール離れだ。規制で価格が上昇し、アルコール離れがさらに進めば、税収に逆効果になる。
 酒の規制緩和は、業界の競争を活発にして、経営努力を促し、消費者が低価格で酒を楽しめる契機となった。その原点を大事にすべきだ。

関連記事
スポンサーサイト

テーマ:報道・マスコミ
ジャンル:政治・経済

  1. マスコミ
  2. TB(0)
  3. CM(0)

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する