2015-08-11 20:41

携帯電波と放射能


「携帯電話がペースメーカーを誤作動させるから、電車での携帯使用は控えましょう」。no-risuは昔から胡散臭いと思っていた。様々な電波が飛び交う日本において、電車の中の携帯電話だけが影響するなんて非論理的だ。疑似科学の類ではないのか。

しかし、鉄道各社は車内放送で注意を促し、総務省は「22センチ以上離せ」とガイドラインを示した。携帯が次世代機になり電波が弱まると、総務省は22センチから15センチに緩和した。総務省がどんな調査をしたのか知らないが、科学的根拠は甚だ疑問だ。

そもそも、携帯電波がペースメーカー異常を引き起こした事故は1件も確認されていない。昨年、総務省はついにゼロ距離実験を行って、「全ての携帯機種でペースメーカーに影響は無かった」と発表した。つまり、事実上の安全宣言だ。

安全が確認されたのだから、ペースメーカーを理由にした携帯の使用制限は撤回するべきなのに、鉄道各社の動きは鈍い。及び腰になる理由は利用者の不安だ。安全が確認されても、利用者の安心は確保されていないからだ。

8月11日、このことについて朝日新聞が疑問を呈した。

利用者が不安だろうと、それは非科学的なものだから、電車の携帯制限はおかしいだろう、と。朝日は「日本心臓ペースメーカー友の会の日高進副会長」を取材し、会長は携帯を胸ポケットに入れて生活しており、「制限は撤廃すべし」と訴えていた。

朝日新聞の記事はとても良い。リスクは科学的に考察するべきで、科学で安全を確認できたなら、それを説明して利用者の安心に繋げ、直ちに社会に反映させるべきなのだ。

さて、この記事は本当に素晴らしいと思うのだが、同時に、どうして原発と放射能でも同様の論理的思考ができないのかと嘆きたくなる。

携帯電話を原子力発電所に、携帯電波を放射能に変換したとき、反原発派の批判と全く同じ構図であることが分かる。原発と放射能のリスクについて、朝日新聞ら反原発派は科学ではなく感情で論じ、反対ありきで非科学的な不安を煽る。

日本心臓ペースメーカー友の会の日高会長に相当するであろう、原発や放射能関連の専門家にいたっては、「原子力村」や「安全神話を作った罪人」のレッテルを貼りつけ報道から締め出した。その一方、反原発派なら門外漢でも重用した。

電車の携帯使用に疑問を呈する記事に、朝日新聞は「優先席付近の携帯オフは必要?」とのタイトルを付けた。朝日ら反原発派に問いたい。「原発停止は必要?」、「廃炉は必要?」、「現行の厳し過ぎる基準の除染は本当に必要?」、と。

感情論ではなく、科学と論理で答えを考えてほしい。それでも反対の結論に至るのなら、no-risuは反対する理由について真摯に耳を傾けたいと思う。




朝日:優先席付近の携帯オフは必要? 鉄道会社、ルール変更も
http://www.asahi.com/articles/ASH726KN0H72UTIL048.html
 「優先席付近で携帯電話の電源をお切り下さい」。心臓ペースメーカーへの配慮から定着した地下鉄などでの車内放送だが、近年「影響は無い」という調査結果も出ている。本当に優先席の近くで携帯電話を使っても大丈夫なのか。
 JR京浜東北線車内で6月、70代の男が、タブレットを使う乗客に「優先席でいじるな」と刃物を突きつけた。約50人が線路上に逃げ出す騒ぎになった。
 昨年12月には相鉄線の優先席で、60代の男がスマホを使う女性に「降りろ」と怒鳴り、非常ボタンを押した。男は駅のホームと車両にまたがり発車を妨害したとして、今年1月に威力業務妨害の疑いで逮捕。同様のトラブルを昨年4月から39回繰り返していた。
 電車の中で、携帯端末を巡るトラブルが後を絶たない。東京メトロが「携帯が原因の客同士のけんかは頻繁」というなど、各社も頭を悩ませる。
 「電源オフ」のルールは、携帯電話の電波がペースメーカーに干渉して脈を乱す恐れがあるとして、2000年ごろ始まった。首都圏17社は03年に「優先席で電源オフ」の統一ルールを採用。翌年関西が続き、全国に広がった。
" しかし、第2世代と呼ばれる携帯電話サービスが終わり、電波が弱い第3世代になって動きが出てきた。
 「携帯電話とペースメーカーの距離を22センチ以上」と定めていた総務省は13年、指針を15センチ以上に緩和した。指針緩和を受け、京阪電鉄(大阪市)は13年末に「混雑時のみ電源オフ」ルールを導入。翌年、JR西日本と関西鉄道協会も続き、足並みをそろえた。
 首都圏はどうか。"
 関東鉄道協会は「関西と違って混雑率が高いし、各社間の乗り入れも多い」と慎重な見方だ。乗車率150%以上の私鉄路線は関西はゼロだが、首都圏は15路線。「15センチ以上離す総務省指針に従えば、通勤ラッシュの度に電源オフにしなければならず、関西ルールは難しいのでは」
 首都圏では相互直通が15社33路線で関西の5倍近いという事情もある。「各社ごとにルールが違えば、かえって顧客サービスが低下する」(新京成電鉄)という声も上がる。
 しかし、ここに来て見直しの動きが出ている。総務省は昨年3月には14機種のペースメーカーに1センチ未満の距離から携帯と無線LANの電波を同時に当て、全機種で「影響なし」とする実験結果を公表。今年6月には、「実際に影響が発生するとは限らない」との文言を指針案に盛り込んだ。9月にも決まる見通しで、JR東日本は指針を受け、優先席で常時電源オフは求めない方向でルール変更を検討するとみられる。
 私鉄各社も追随の動きを見せる。東急電鉄は「ルール変更を具体的に検討している」。京急電鉄の担当者も「首都圏も遅かれ早かれ変わるだろう。後は、各鉄道会社間や関係機関との調整だ」と明かす。
" 当事者たちはどうか。「不安に思う人がいる以上、変えられない」(東京メトロ)という声もあるが、利用者団体や医師はそういった不安を打ち消す。
 日本心臓ペースメーカー友の会の日高進副会長は「患者には『電波の影響は気にしなくていい』と訴え続けてきた」と話す。自身も利用者だが、携帯電話はいつも胸ポケットだ。"
 日本不整脈学会の中島博医師も「健康被害には至らない」と話す。いまのところ電波が影響した事例の報告は無いという。「電源オフの車内放送は無駄な恐怖心をあおるだけ。すぐにやめるべきだ」(後藤遼太)







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コメント

お盆休み

恒例、1週間程度のお盆休暇に入ります。

猛暑と猛渋滞を堪能しつつ、帰省して堕落の限りをつくします。

それでは、皆様良い夏休みを。

  1. 2015-08-11 21:19
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

こんばんは。お疲れさまです。

TBSの「ひるおび」ですが、意外にも原発再稼働のメリットをいくつか紹介していました。コスト面についても、具体的な金額を出しながら「再稼働せず火力だけの場合と比較しても下がるのは間違いない」という結論でした。他にも、火力に集中しすぎると有事などで石油や天然ガスの輸入が止まった時に対応ができなくなるリスクを紹介していました。
一方で、日テレの「ミヤネ屋」でも、女性弁護士が「今は電力が足りていても、それは火力発電所に無理をさせている上で成り立っている」と、再稼働に一定の理解を示すようなコメントをしていました。

以前は、原発を擁護するような報道は絶対にしなかったように思うのですが、少しでもいい流れに代わっているのなら嬉しいことです。

一方、報道ステーションは古館が現地に赴いてます。こちらは変わりようがないですね(笑)。川内原発近くの老人ホームの職員にインタビューしてましたが、「あちらでは人が亡くなっていて、こちらでも同じようになるか心配」みたいなことを言っていました(集中して見ていなかったので、正確には違うかもしれません)。原発事故で直接亡くなった人は一人もいないはずです。これってBPOものではないでしょうか?
  1. 2015-08-11 22:37
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  3. kachikachi5120 #-
  4. 編集

To kachikachi5120さん

こんばんは、夏休みから復帰しました。

8月上旬だったか、たまたま見た報道ステーションでは、安保法案を推進するコメンテーターが熱弁をふるっていました。たまにはそういうこともあるようです。以前はたまにもありませんでしたので、ひょっとしたら安倍自民のメディア対策がジワリと効いているのかもしれません。

まあ、基本的には変わっていないでしょうけどね(笑)。

  1. 2015-08-19 19:15
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  3. no-risu #-
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