よく漫画や映画に出てくる悪党は、さんざん悪事を重ねておきながら、いざ自分が窮地に立たされると、「ちょ、ちょっとタンマ!」、「は、話し合おうじゃないか!」、などと姑息な時間稼ぎにはしる。もちろん、そんなものは通用しない。悪党の末路は決まっている。
その後のパターンは概ね2通り、有無を言わさずコテンパンにされるか、ヒーローが拳を下ろしたすきに「へへ、馬鹿め~!」と隠し持っていたナイフなどで襲いかかり返り討ちに遭うかだ。翁長と国の攻防は、まさにそんな勧善懲悪ストーリーを彷彿とさせる。
翁長の埋立て承認撤回を受けて、国は地方自治法に基づく代執行に踏み切った。同時に、国は県との事前協議の打切りも通告した。翁長らは事前協議による時間稼ぎを画策していたが、国に先手を打たれて目論見はあえなく潰えた。痛快である(笑)。
事前協議の打切りについて、案の定、沖縄2紙はヒステリックな批判を展開した。あざあとい、暴挙、不条理、常軌を逸している、etc。悪党の悲鳴はいつ聴いても心地良い。
さて、本エントリでは、そんな小悪党の戯言に一分の理も無いこと、彼らがいかに卑劣な主張を重ねているかを説明しておきたい。以下に紹介するのは、琉球新報の社説(10月29日)から、事前協議打切りに対する批判部分を抜粋したものだ。
・沖縄防衛局は前知事の埋め立て承認の条件ともいえる留意事項で義務付けた事前協議の打ち切りも県に通知した。
・中谷元・防衛相は「県から『埋め立て承認を取り消したことから、協議はできない』旨の通知があった。よって協議は終了したものと考えている」としている。都合のいいように解釈するのはいい加減にすべきだ。
・県は事前協議を中断しただけである。県は「事前協議が整わないまま、本体工事に入ることはできない」とし、事前協議を再開する方針である。国が事前協議から逃げるのならば、新基地建設計画は撤回すべきだ。
・そもそも事前協議を打ち切るかどうかは、国に埋め立て承認を与えた県が判断すべきものだ。国の打ち切り通知は無効であり、県の求めに応じるのが筋だ。
根本的な確認だが、「事前協議」とは何か。
事前協議とは、仲井真前知事が「埋立てを承認する条件」に提示した留意事項だ。国は快く留意事項を承諾し、仲井真前知事は埋立て承認を決定した。ちなみに、業者との癒着が問題となった環境監視委員会も、この留意事項に基づき設置されている。
したがって、翁長が「埋立て承認」の前提条件を破棄し、本当に撤回してしまった時点で、留意事項も全て白紙撤回されたことになる。第一、事前協議は移設実施に関する項目を協議するわけで、承認する意思の無い翁長らとは協議することが無い。
本当なら、設置根拠を失った環境監視委員会も解散させるべきだ。このまま存続させて、将来的に「工事は適切に実施された」といった報告書が提出されれば、反対派から「設置根拠の無い委員会の報告書は無効」等の正論で批判されかねない。
いずれにしろ、翁長の承認撤回により、翁長ら反対派のせいで、事前協議は消滅した。国の打切り通知は、単にその事実を伝えたに過ぎない。
事前協議を「都合のいいように解釈」しているのは翁長や琉球新報ら反対派であり、「県は事前協議を中断した」のではなく一方的に破棄した。何が「逃げた」だ。北朝鮮かよ。そんな安っぽい挑発で、国が戻ってきてくれるとでも思っているのか(笑)。
しかも、これまで沖縄県は事前協議を悪用しまくってきた。普通、国が仲井真知事と事前協議を約束したと聞けば、誰だって「国と県・市町が協議するのだな」と思うだろう。国だって仲井真前知事だって、そのつもりで留意事項に入れたはずだ。
ところが、沖縄防衛局は移設反対派プロ市民団体との協議を強いられた。「事前協議」の名の下に。それらはおよそ対話と呼べる代物では無く、プロ市民共が一方的に移設反対を主張し、一方的に質問を浴びせ続け、一方的に糾弾する「協議」だった。
これが事前協議の実情だ。移設反対派はやることなすこと一々汚い。順法精神も倫理観も一般常識すらも欠如している。これだから、no-risuは翁長ら移設反対派のことが大嫌いなのだ。国との協議を再開したければ、まずは翁長ら反対派が態度を改めよ。
まあ、このままでも移設容認派は一向に構わない。どうせ、協議したって時間の無駄だから。
琉球新報:<社説>新基地本体着工へ 民主主義破壊する暴挙 国は再考し撤回すべきだ
http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-162351.html
" 防衛省は米軍普天間飛行場の名護市辺野古沿岸部への移設に伴う新基地建設の埋め立て本体工事に早ければ、きょうにも着手する。
新基地建設に反対する圧倒的民意を無視する暴挙であり、民主主義の破壊である。強く抗議する。"
" 新基地建設の是非を最終的に司法に判断させる道を選んだのは安倍政権である。判決前に本体工事に着手することは、司法軽視であり許されない。
安保法制に続き、国民の安全よりも軍事を優先する安倍政権の危険な姿がさらに鮮明になった。沖縄だけの問題ではない。国民は座視してはならない。"
"協議打ち切りは無効
翁長雄志知事による前知事の埋め立て承認取り消しの効力停止決定、埋め立て承認の国による代執行着手、さらには埋め立て本体工事の通告など、新基地建設に向けた安倍政権の一連の対応は、沖縄の民意を無視する恥ずべき行為である。"
県民は知事選をはじめとする一連の選挙で「新基地建設反対」の意思を明確に示した。その民意を踏みにじる安倍政権によって、新たな米軍基地が押し付けられ、基地被害の重圧に半永久的にさらされるかどうかの重大な岐路に立たされている。
戦後70年にわたり、過重な米軍基地負担に耐えてきた県民の声を無視し、さらに基地負担を強いる。こんな不条理がまかり通る国は、民主主義国家には程遠い。
沖縄以外であれば、知事が強く反対し、県民の大多数も反対する事業について工事を強行し、法廷闘争を視野にした代執行の手続きに着手することはないはずだ。沖縄に対する安倍政権の強権姿勢は常軌を逸している。
沖縄防衛局は前知事の埋め立て承認の条件ともいえる留意事項で義務付けた事前協議の打ち切りも県に通知した。
中谷元・防衛相は「県から『埋め立て承認を取り消したことから、協議はできない』旨の通知があった。よって協議は終了したものと考えている」としている。都合のいいように解釈するのはいい加減にすべきだ。
" 県は事前協議を中断しただけである。県は「事前協議が整わないまま、本体工事に入ることはできない」とし、事前協議を再開する方針である。国が事前協議から逃げるのならば、新基地建設計画は撤回すべきだ。
そもそも事前協議を打ち切るかどうかは、国に埋め立て承認を与えた県が判断すべきものだ。国の打ち切り通知は無効であり、県の求めに応じるのが筋だ。"
"適切な対応こそ重要
菅義偉官房長官は本体工事着手に関し「前知事の埋め立て承認により、既に行政判断は下されている。行政の継続性の観点から工事を進めていきたい」としている。"
行政には継続性が必要なものと、見直さなければならないものがある。行政の長が継続性だけにとらわれては、住民のニーズに応えることなどできない。よりよい社会づくりのために、必要に応じて見直すことに何ら問題はない。その観点に加え、民意も反映させて各事案で適切に対応することの方がより重要である。
" 新基地建設の是非は一連の選挙で最大の争点だった。埋め立てを承認した前知事は支持されず、「新基地建設反対」を訴えた翁長知事は約10万票の大差で県民の支持を得たのである。
選挙結果に沿って見直すことを否定する官房長官の姿勢はいかがなものか。行政の継続性の必要性が全ての事項に当てはまるのならば、選挙の意味はなくなる。"
安倍政権は民主党政権時代の施策を、行政の継続性を理由に何一つ見直さなかったのだろうか。それでは政権交代の意味もなかろう。いったん決まったことだからとか、米政府と約束したことだからという政権に、存在する意義や価値はない。安倍政権は再考して、新基地建設計画を撤回すべきだ。
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