2016-02-16 20:56

「ヘイトスピーチだから」では説明になっていない


法務省の削除要請を受け、ニコ動は在特会の「ヘイトスピーチ動画」を削除した。動画の内容は、東京都小平市の朝鮮大学校の校門前で「朝鮮人を日本からたたき出せ」などと叫んでいたもの。あまり覚えていないが、自分も動画を観た記憶はある。

このことについて、削除を求めていた市民団体や在日朝鮮人らは素直に歓迎するだろう。しかし、在日朝鮮人でも在特会でもない第三者からすれば、今回の動画の削除は知る権利を削除・制限されたも同然だ。素直には歓迎しかねる。

在特会の活動風景動画は、ヘイトスピーチ問題を考える上で極めて重要な資料だった。というか、これ以外にまともな資料は存在しない。

メディアや市民団体や国際団体が非難し、国会でも法規制が議論され、大阪市では規制条例が制定された「ヘイトスピーチ」。ヘイトスピーチという名称を知らない人はいないだろうが、その中身について知っている人はどれくらいいるのだろう。

おそらく、ほとんどの国民はヘイトスピーチと批判されている発言の実際を知らない。ヘイトスピーチは、在特会ら行動する保守の活動現場でしか聞けず、マスコミはヘイト活動の現場を報じないから、我々第三者には知る術が無い。

マスコミは、非常に限られたセンセーショナルな発言しか伝えない。「皆殺しにしろ!」と女子中学生が述べたケースなど、数少ない昔の同じ発言をずっと使いまわしている。最近は?、他の発言や頻度は?、現場のヘイト感は?、全く分からない。

これは恐ろしいことだ。

国が法で言論規制しようとしているのに、サヨクメディアらが規制を強く求めているのに、我々一般市民には規制されるヘイトスピーチの何たるかが知らされていない。規制を求める人々は、何故かヘイトデモの実態を伝えようとしない。

在特会がアップするネット動画は、ヘイトスピーチの実際を知るための、ほとんど唯一と言える貴重な資料だった。それが消された。まあ、削除しても複製されるだろうけど、本来目的は情報の抹消であり、知る権利的にどうなの?って話よ。

もちろん、一方的に知る権利を主張しようとは思わない。被害者側の感情もある程度は理解できる。見知らぬ集団に「出てけ!」と言われれば苦痛だろうし、ヘイトスピーチかどうかはさておき、朝鮮大学校前でやるべき活動でもないだろう。

しかし、被害者側の主張だって証拠動画を消されたら判断できない。判断すべきでもない。「証言」だけで同情するほどno-risuは優しくない。動画内容が記憶に残っていないのは、騒ぐほどの内容じゃなかったからでは?、という考えも浮かぶ。

そして、一番重要なことは、被害者側の主張に認められる部分があったとしても、動画の削除で国民の知る権利が制限された事実は残ることだ。

さしもの東京新聞も、動画削除を手放しでは喜ばなかった。しかし、「今回の削除はやむをえない」と容認していた。本当に「やむなし」だったのか?、「ヘイトスピーチ」や「人権侵害」で思考停止しているだけではないのか?。

ある権利を守るために別の権利が犠牲にされた是非について、ヘイトスピーチの実際を知るための資料が削除された事態について、本件はもっと議論されるべきだ。削除理由が「ヘイトスピーチだから」では納得しかねる。




東京:ヘイトスピーチ動画削除 ニコ動など 法務省要請で初
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201602/CK2016021402000125.html?ref=rank
 在日朝鮮人に対する差別的言動などのヘイトスピーチ(憎悪表現)の動画がインターネット上で公開されているのは人権侵害に当たるとして、法務省が複数のサイト管理者に削除を要請し、一部が応じていたことが、関係者への取材で分かった。ヘイトスピーチによる人権侵害を抑止するための法務省の措置が、動画削除につながった初のケース。
 法務省は昨年十二月「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の元代表にヘイトスピーチをしないよう勧告するなど、抑止の取り組みを強めている。今回は被害者側の申し立てに基づく要請で、勧告と同様に強制力はない。
 関係者によると、問題となった動画は二〇〇九年十一月、東京都小平市の朝鮮大学校の校門前で在特会メンバーが「朝鮮人を日本からたたき出せ」と大声を出している内容など。動画配信サイト「ニコニコ動画」などを通じて公開されていた。
 法務省は名誉毀損(きそん)やプライバシーの侵害があると判断した動画や書き込みについて、プロバイダーなどに発信者情報の開示や削除を求めており、この動画も削除を要請。十三日までにニコニコ動画を含む複数のサイトが「人格権侵害」などの理由で削除した。
"◆人権侵害 一定の歯止め
 法務省の要請に応じ、複数のサイトがヘイトスピーチの動画を削除したことは、差別的発言の拡散への一定の歯止めになると見込まれる。だが、削除要請の具体的基準は示されておらず、行き過ぎた対応が表現の自由の制限につながらないよう、慎重な対応を求める声もある。"
 ブログや会員制交流サイト(SNS)の普及に伴い、インターネット上での人権侵害を訴える声は増加している。二〇一四年に法務省が被害の申し立てを受けたのは過去最高の千四百二十九件に上り、十年間で約七倍となった。
 法務省によると、一四年にプロバイダーやサイト管理者に書き込みなどの削除要請をしたのは百五十二件。中学生を「死ね」と中傷する動画が掲載されたケースでは、投稿サイトの管理者に学校側が削除依頼しても応じてもらえなかったが、その後法務省が要請し、削除につながった。
 同省幹部は「申し立ての件数はどんどん増えているが、侵害の認定が難しかったり、管理者とのやりとりに時間がかかったりすることも少なくない」と対応の難しさを打ち明けた。
 ヘイトスピーチの動画削除について、ネット問題に詳しい落合洋司弁護士は「自分で解決できない被害者を救済するために今回のような対応は必要だが、行き過ぎると表現の自由への介入になる。節度を持ち、控えめに行使していくことが求められる」と指摘する。
 青山学院大の大石泰彦教授(メディア倫理)は「昨今のヘイトスピーチの状況を見れば、今回の対応はやむを得ない」としつつ、「被害者が特定できなくても関連団体が差し止め訴訟を起こせるなど、新たな制度をつくるべきだ。公権力が主導してネット空間が浄化されるスタイルが根付くのは危険で検閲性も高く、どのような言葉が入れば削除要請をするかなど、基準を明確化する必要がある」と話している。







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コメント

ヘイトスピーチの現場でつむがれる言葉とは?

no-risuさん、こんばんは。
自分もヘイトスピーチというものがどういうものなのかわかりません。米のKKKにはじまり、世界でも差別的なスピーチはあるそうですが直接聞いたわけではないので、現場ではどういう言葉がつむがれているのでしょうか。
少し興味があります。
ただ当事者が聞いて、傷ついたり恐怖などを感じたらそれは言葉の暴力になってしまうのかなと想像します。
アレルギーのように反応して画一的に削除をするのは少しもったいない気がします。

あれから自分のサヨクのルーツを色々と調べたのですが、おそらく労農派と呼ばれる売国サヨクのグループらしいです。ただ、昔の歴史はよくわからないので、現実の中で見聞きしたことを、自分の良心の中で整理して、普通のサヨクを目指したいです。
  1. 2016-02-16 21:58
  2. URL
  3. azarash #-
  4. 編集

To azarashさん

こんばんは。

国内のヘイトスピーチですらよくわからないのに、海外のことで私が言えることなんてありませんが、報道や歴史等で判断する限り、欧米のヘイトスピーチは日本の比ではない酷い内容だろうと思います。

それはさておき、「傷ついたり恐怖などを感じたらそれは言葉の暴力」という定義は一定の真実を含んだ見方でしょうね。ただ、これとヘイトスピーチは完全に別物と考えるべきです。

ヘイトスピーチは国家的に法規制されるほどの暴言で、しかもサヨク様によれば「特定民族・マイノリティに対する暴言」のみがヘイトスピーチ該当するらしいですからね。

動画の削除ですが、どうして削除しようと思うのか、私には理解しかねます。

いや、分かりますけど、例えば私は朝日新聞の論調には賛同しなくても、朝日を廃刊にしたいとは思わないし、むしろ積極的に購入しているんですよね。だって、あちら側の情報が得られますから。貴重な情報を消すなんてもったいない話ですよ。

サヨクについて、なぜか日本では「サヨク=売国的、かなりマジキチ」なんですよね。本来はそんな分類ではなくて、サヨクはサヨクで良いところや愛国的な部分が沢山あるわけで。なのに、日本では「愛国=サヨクの敵」なんですよね。

普通のサヨク、とても良い目標だと思います。人生でも何でも普通が一番大変で大切だと思います。「自分の良心の中で整理」が感情論や身勝手な主観にならないよう、そこだけ気を付けていただければ、きっと後悔しない結果になると私は信じます。

  1. 2016-02-16 22:28
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

 これ削除を要請する法的根拠がないのです。

 唯「お願いします」と言うだけなのです。

 だから要請された側には、従う義務はありません。

 しかし言論法務省がこんな言論統制になるような事を、法的根拠無しにやっていいんでしょうか?
  1. 2016-02-17 14:26
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  3. よもぎねこ #-
  4. 編集

To よもぎねこさん

こんばんは。

特に問題無いです。

直接的な法的根拠が無くても、幹となる人権に関する法律やガイドラインはあるわけで、人権保護の観点から強制力の無いお願いをする程度のことは問題無いし、むしろ何もしない方が問題になります。公務員の仕事ってそういうもんです。

で、もしも法的根拠を作れば必然的に規正法になるわけで、それこそ言論統制まがいの法律になりかねません。そこまでいかないためにも、「お願い」という穏便というかなぁなぁというか、こういう手法は必要な仕事だろうと思いますよ。

  1. 2016-02-17 19:31
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

人権問題に法務省は口を出すべきではない。

精神障害者なぞ、差別と偏見の中いきていますが、法務省人権擁護局の、無能と怠惰さには、呆れるばかり。
まったく役立たず、どころか人権擁護委員などやる気のない、無能な連中。
なにしろ、まともに傾聴もできない、逆に説教する馬鹿など当たり前。
はては、貴方が努力しろと命令する奴もかなりいます、だからもう、法務省人権擁護局は廃止した方がいいです。
もちろん対案はあります、管轄を家庭裁判所に移し、調停もしくは、ADRその場合、人権警察は危険です。
だから、一案として、人権擁護士という資格でも作って、基本的に、ADR代理利権を付与し、人権調停、もしくは、人権ADRという形が、最善でなくとも次善の策と思っています。
なぜ、家庭裁判所かと言えば、人権問題を一番多く扱うのが、家庭裁判所だからです。
また、調停は原則非公開、最初の行き違いなど、言った言わないのレベルですから、とりあえず話し合いで済ませる。
まあ、あくまでも私の私案ですが。
  1. 2016-02-19 19:37
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  3. 政界ウォッチャー三十年 #6txGS3Mk
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To 政界ウォッチャー三十年さん

こんばんは。

法務省に限らず、各自治体にある人権部署の活動もろくなものがないですね。役に立ってるんですかねぇ。

家裁や資格新設は、内容次第ではありだと思いますが、私はそれほど家裁を信用していないし、人権擁護士は人権保護法みたく悪用される可能性もあるので、慎重に考えたいところです。

  1. 2016-02-19 21:22
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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