2017-01-11 20:50

東京新聞にみるダメ報道の例


11月11日、東京新聞が世界保健機関(WHO)の発表した「喫煙による経済損失」について記事を書いていた。これがとんでもない駄作で、内容がさっぱり理解出来ない。書いた記者も理解していないのではないか。記事には次のとおり書かれている。

東京:喫煙の経済損失116兆円 WHO、途上国に対策促す
 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は10日、たばこが世界経済に与える影響に関する報告書を発表、健康被害への医療費などで年間1兆ドル(116兆円)以上の損失を与えていると指摘した。特に喫煙人口が増加傾向にある途上国での被害が深刻だとして、たばこへの課税強化などの対策を求めた。

要約すれば、

喫煙が世界経済に与える影響=健康被害への医療費等で年間1兆ドル以上の損失

ということだ。

意味が分からない。

「年間1兆ドル以上の損失」と書かれているが、具体的に「誰の損失」か。記事を読む限り、損失の被害者は「世界経済」で、主な損失内容は「医療費」となっている。しかし、医療費は患者や社会保障にとっては負担だが、医療業界にとっては収益だ。

つまり、医療費で考えたとき、経済全体に損失を与えてはいない。もっと言えば、医療分野は商売繁盛で経済的にプラスだ。したがって、東京新聞の記事は論理的に破綻している。東京新聞の誤報か、WHOがアホなのか、そのどちらかということだ。

健康被害による経済損失を語るなら、喫煙者らの生産性の損失で説明せねばならない。入院や死亡により、本来稼げたはずの生産性を損失し、その損失量が煙草経済と医療経済の生産量を上回れば、それは煙草による経済損失と言える。

東京新聞は「花粉症患者のマスク代や薬代=経済損失」と説明している。アホかと。我々は、この手のダメ報道を見抜く眼力を磨かねばならない。大袈裟に思われるかも知れないが、同種の誤報は国の借金に関する報道でもよく見かける。決して小さな問題ではない。



東京:喫煙の経済損失116兆円 WHO、途上国に対策促す
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017011101000764.html
" 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は10日、たばこが世界経済に与える影響に関する報告書を発表、健康被害への医療費などで年間1兆ドル(116兆円)以上の損失を与えていると指摘した。特に喫煙人口が増加傾向にある途上国での被害が深刻だとして、たばこへの課税強化などの対策を求めた。
 事態を放置した場合には、喫煙を原因とする死者が現在の年間600万人から2030年には800万人に増加する可能性があるとした。
 WHOの15年の資料によると世界の喫煙人口(15歳以上)は約11億1300万人。国別では中国が1位で約3億400万人。日本は約2500万人で7位だった。"




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コメント

こんばんは。
報告書の該当部分をざっと見てみたのですが、

喫煙のコスト(cost of tabacco use)として
・医療費用(direct health care cost of smoking)
・生産性の損失(indirect costs of productivity loss due to tobacco-related morbidity and mortality)
を算出し、国や地域ごとにGDPとの比較などを行っています。
そして、世界全体では医療費が$422、生産性が$357(病気)+$657(死亡)とのこと。

1兆ドル余りの損失と言えば、後者を指すはずです。
トータルのつもりだったとしても、多数を占める生産性のロスについて書き落とすのはやはりおかしい。
「健康被害への医療費などで年間1兆ドル以上の損失」という記述は新聞社の誤報と言って差し支えないでしょう。
  1. 2017-01-11 23:56
  2. URL
  3. ciel #-
  4. 編集

To cielさん

こんばんは。

情報ありがとうございます。

やはりWHOはそれなりに調査していて、マスコミ(東京新聞)が報道をミスったのですね。
ちなみに、他の通信社も同様の誤報をしてまいた。東京新聞は、通信社の記事を丸パクリしたのかもしれませんね。
  1. 2017-01-12 19:35
  2. URL
  3. no-risu #-
  4. 編集

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